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DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

QURULI featuring Flip Philipp and Ambassade Orchestra 「NOW AND 弦」

(※明日もあるのでなるべくネタバレ的表現は控えますが、ポロっと漏れてしまったらすみません。なにぶん、とんでもなく良いコンサートでしたので!)

当方、くるりで最も好きなアルバムは?と問われたら『ワルツを踊れ』と即答します。あの名盤のライブツアーで実演されたオーケストラとの共演が9年振りに実現するとあって、チケット代はそれなりにしましたが迷いなく行くことに。
2日前の京都音楽博覧会でもこの編成での演奏が予定されていましたが、落雷の危険により中止になってしまったため、どのような演奏になるのか全くわからないまま当日を迎えることに。『ワルツを踊れ』の再現?それとも他の曲もやるのか?オーケストラの人数は?タイトル「NOW AND 弦」の意味は?etc…。
ただ、わからないことが多い分、ワクワク度も高かったことは確か。ついでにオーチャードホールの雰囲気に合わせて、セミフォーマルで臨みました。自分なりの、このライブへの気合いです笑

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会場に着いてチケットを係員に渡すと、公演のプログラムが渡されます。表紙をめくると、なんと演奏予定曲目が全部書いてある!本当にクラシックのコンサートみたい!
このプログラムには演奏メンバーとスタッフ全員の名前も書かれてあり、資料としても有用。アンバサーデ・オーケストラのメンバーは4名参加、一人ずつ各パートにバラけてそこに日本人メンバーが数名ずつ加わる編成。バンドのほうは事前に公開されていたとおり、これまでのNOW AND THENシリーズとほぼ同じ。コーラスにUCARY & THE VALENTINEが入ったので、音源通りの「上海蟹」が聴ける期待が高まります。

19時をやや過ぎた頃に開始。SOLD OUTにもかかわらず、この時点ではやや空席が目立つ。強い雨で交通網に遅れが出ていたからでしょうか?ちょっともったいない(と思っていたら、続々とお客さんが入ってきて一安心。曲間に着席するよう、きちんと誘導していたスタッフさんたちはグッジョブでした。さすがオーチャードホール)。

オープニングはオーケストラのみでの演奏。そこからバンドが加わり、ストリングスを導入して最初にリリースした曲が始まる。岸田さんの声は好調、音のバランスもちょうどいい。早くも良いコンサートになることを確信。

そこから「オーケストラ編成でこれやるの!?」という曲が2連発。フレッシュな曲の勢いに、ストリングスが入る余地あるのかな…?と思いましたが、予想に反して演奏の絡みは良く、指揮者のFlip Philippもタクト振りつつ楽しそうにピョコピョコ飛び跳ねていて、逆により一層勢いと新鮮さが与えられていたような。なんだか新しい音楽の花が開いたような、そんな感覚になりました。
…とかなんとか思っていたら、岸田さんもMCで「楽隊の演奏のおかげで、歌う言葉に花がポッとついたような、そんな気がします」と言っていて、岸田さん自身も何か華々しさのようなものを感じているんだな、と恐れ多くもちょっぴり共感。

中盤はオーケストラコラボにおける大名曲で鳴り止まない拍手を呼び、そこから少し実験ゾーンへ。9年前にはなかったエレクトロとオーケストラの異種交配も実現し、あのツアーに行った人でも目新しく感じる部分も多かったのでは。

岸田さんは「くるりは過去と未来を行き来する音楽、ただそれだけをやっている」と今回言っていましたが、歌詞の内容だけでなく、表現手法においてもそのことを重視していることが如実に表れていたのが今回の「NOW & 弦」だったと思います。

先のエレクトロ×オーケストラは分かりやすい一例ですが、歴史と伝統あるやり方に敬意を払いつつ、新しい創造の糧として先へ先へ進んでいく、そんな音楽表現が盛り沢山に積まれた2時間。アンコールで岸田さんがスタンディングオベーションのお客さんを見渡して「もう座らんでええよ」と言い、立ったままオーケストラの演奏を堪能したフィナーレは、「これまで」も「これから」も「いま、ここ」で楽しめる、リスナー全員への祝福のようでした。