DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

Summer Sonic 2012

年々出演者のカオスっぷりが増していく“真夏の灼熱ちゃんこ鍋的音楽フェスティバル”、サマーソニックに今年も行ってきました。

特にちゃんこ鍋だったのは2日目。RihannaやPitbullに引き寄せられたピチピチギャル(死語?)、Tears For FearsNew Order等の復活に胸踊らせる往年の洋楽ナード、グン様目当てのワイドショーな妙齢の麗女たち、そして、モノノフ・・・あまりに多種多様な人種が揃いすぎてまさしくConfusion(by New Order)状態だった私ですが、そんな彼ら彼女らの隙間を縫ってひたすら「良質なポップミュージックの現場」を追い求め続ける、非常に濃密な2日間になりました。

では、時間軸に沿って、今年のサマソニを振り返らせていただきたいと思います。<<1日目>>

■アルカラ

自称「ロック界の奇行師」ということで何をしでかしてくれるか期待していたのですが、ラストでX JAPANの紅を歌ったこと以外目立つパフォーマンスはなかった印象。意外とキャリアの長いバンドなのでうまく纏まり切ってしまっているのか、ライブハウスだったら盛り上がるけど大きなステージだとう〜ん・・・といった感じでした。ただ今回観た中で唯一昨年のサマソニをネタにしてくれたので、初日のオープニングアクトとしてフェスの歴史を繋ぐ重要な役目は果たしてくれたんではないでしょうか(本人たちは絶対にそんな意図持ってなかったでしょうけど笑)。


次はマリンステージでONE OK ROCKを観察しようと思っていたのですが、

This is ゲリラ豪雨
ワンオクはフルで観るつもりなかったので、メッセ内に留まってマイケル・ジャクソンのリスペクトプロジェクト『Thriller Live』を堪能。これが意外と高クオリティで楽しめました。こういうアクシデントによる偶然の出会いも、フェスのいいところです。


きゃりーぱみゅぱみゅ

変顔を売りにしてテレビに出ていたころが嘘のように、今や日本のポップ・アイコンになってしまったきゃりーさん。私も「CANDY CANDY」は2012年のベストソング10傑に入れたいと思っているくらいにお気に入りなのですが、他の曲は「つけまつける」も「PON PON PON」も、正直あんまり好きじゃありません。さて、ライヴはどうか?
結果から言うと、やっぱり「CANDY CANDY」以外は受け付けられませんでした…。安心のヤスタカサウンドは流石なのですが、あまりにも歌が低年齢向け過ぎ。3曲目の「みんなのうた」の時点でもう限界でした。正直きゃりぱみゅはPerfumeが上の層を狙いに行ってるときに、その下を支えるための代理のアイコンにしかならないんじゃないかな?と思いました。
でも「CANDY CANDY」だけは良いんですよねー、なんかこう、ポップアイコンなりのちょっとした憂いも感じちゃったりするので…って、低年齢向けすぎるのがイヤとか、ちょっと憂いのある楽曲が良いとか、もしかすると、自分がオッサン化し過ぎているだけかも知れませんね…。


■The Knux

ヒップホップ。しかし、MCスタイルではなくロックバンドの様なギターヴォーカルだったのが特徴的でした。ただ、この編成はあまりに動きがなさすぎて、ヒップホップ的な躍動感が全くありませんでした。最初は物珍しさで観てましたが、すぐに飽きてもうひとつのヒップホップへ移動。


Mac Miller

こちらはきちんと躍動感のあるヒップホップ。そういえば最近のアメリカ、ヒップホップがすごく元気ですよね。Kanye Westグラミー賞獲るわ、Snoop Doggは今年のコーチェラのベストアクトに公認で選ばれるわ、Odd Future界隈の連中はチャート上位にちょくちょく顔出すわ、Eminemもしぶとく売れているわ・・・そういえば、先日のPitchfork Festivalにもいくつかヒップホップのアクトが出ていましたね。正直、私はヒップホップはこれから積極的に当たっていきたい!と思っているジャンルなので、ナードレベルまでヒップホップ人気が浸透している理由はよく分かりませんが(ウォール街占拠に象徴される社会の動きも追い風になっているんですかね?)、とりあえずMac Millerもそうしたジャンル人気に支えられて飛び出した正統派のヒップホップ・アクトかなーと思いました。なんかライヴ自体の感想になってなくてすみません汗


■The Koxx

韓国ロック。シンセ担当の方の動きやファッションがthe telephonesノブ氏に近いものがあったのですが、あれは真似てたんでしょうか?音も「声の高くないテレフォンズ」という感じで、大いにノレました。スタジアム・ロック的なところもあって、そこも好感触。
しかし、お客さんはびっくりするほど少なかった!一応アジカン後藤氏がプッシュしたこともあるバンドだったのでそれなりに集まるかなーと思ったのですが…。やはり大手メディア以外にはアジア圏のアクトが日本に浸透するツールって全然確立されていないんだなー、と実感してしまうライヴでした。


■Grouplove

今年出た1stアルバムを周囲の方々は絶賛されていたのですが…実は、私にとって、あのアルバムはSnoozer誌で言うところの「2012年金返せアルバム」No.1なんです、今のところ。アップテンポな曲とスローな曲のバランスは全然取れていないし、ワーワーやってごまかしているけれど下手っぴだし、単にバンドの成り立ちのユニークさでイメージが膨らんでいるだけでは?と、思っていたんです。
で、マリンスタジアムのスタンドにぶらりと立ち寄って、ライヴを観てみましたところ。
「・・・あれ、意外と良いじゃないですか!」
絶対下手でペナペナだと思っていた演奏がわりとタフでマリンの環境にも合っていたし、メンバーのルックスや動きも映えばえしくて、素直にアート性のある素敵なバンドだと思いました。やっぱりライヴと音源は違う。音源だけで良いバンドか駄目なバンドか判断しちゃいけないですね…。
次のグライムスが観たかったので3曲くらいで離脱しましたが、2ndで良いアルバムが作れたらまた来日してほしい、そしたら今度はフルで観たいと思います。


■Grimes

ライヴに入る前にクレアちゃんがMCで何か話していたのですが、その間とにかくクレアちゃんの隣にいるパンダが気になって気になって…。ライヴ開始前から不思議感満載のGrimesでしたが、音が鳴り出し、歌に入った瞬間、Sonic Stageの空間がガラリと変わりました。例えば、先週同会場で観たsalyu × salyuは「4人で1つ」の歌声で会場の空気を変えてましたが、クレア・バウチャーは完全にたった1人の声でそれをやってのけてました。凄い。
Grimesも次のVaccines観たさ故に「Oblivion」までしか観れなかったので、早いうちに単独来日してほしいです。あるいは海外のフェスでFlorence + the machineあたりとセットで観れたら最高かも。


■The Vaccines

思った以上に音がペラペラ。でもそのペラペラの隙間から、UKロックが長年積み重ねてきた歴史がにじみ出てきているような気がしました。ゆえにペラペラでも最後まで観れましたし、「Wreckin' Bar」「If You Wanna」「Norgaard」 といった人気曲できちんとモッシュ出来るんですよねー。
ただ、新曲があまりにもストロークスっぽいのが多すぎるのは、アメリカ狙いにしてもちょっといかがなものか…?あと、余談ですが「ファッションがスギちゃんみたい」ってみんな言いすぎです苦笑。まあ、ヴァクシーンズもそれなりにワイルドですけど…。


■St.Vincent

サマソニ爆裂娘その1。Vaccines後にヘトヘトになりながら移動してきたのでPop Groupのカバー辺り(つまり終盤)からしか観れませんでしたが、宮沢りえ似の才女らしいルックスからは程遠いパワフルなギター奏法、そして最後の曲でやっぱりダイヴ。「ギャップ萌え」ってこの人のためにあるんじゃないかな、と思ってしまいました。


Crystal Castles

サマソニ爆裂娘その2。St.Vincentアニー嬢がフロアに突っ込んでいるのをSonicで見届けた後、Mountainに移動してきたらこちらのアリス嬢も同様に客席で爆発しておりました。今年のサマソニのこの時間帯は、基本フロアライヴだった模様です笑。
Grouploveに続き、こちらも音源とは印象が違ったアクト。音源だけ聴いていると「これでどうやって暴れられるの?」と思うのですが、ライヴではアタリ・ティーンエイジ・ライオット並にノイズとベース音が拡充されていて、おまけにアリス嬢が攻め込みまくってくるので客席は応戦せざるを得ない。そりゃあ盛り上がるでしょう。しかもそれを巨大なステージでやってしまうのだから凄いなー、と思います。メンバー2人とも前科ありの危ない人なのに、世界中のフェスで大きなステージを任される謎が解明できました笑。


Passion Pit

パッション・ピットは先日出た3年振りの2nd『Gossamer』が各種メディアで高評価を獲得、全米チャートでも4位に入るなど、インディーファンから一般ポップリスナーまで幅広く愛されるユニットになりました。2年前のサマソニでも観たのですが、そのときはあまりに理想的なシンセサウンドとVo.マイケル・アンジェラコスの奮闘ぶりに涙腺が緩んでしまい、後半は涙(と汗)でグシャグシャになりながらフロントで飛び跳ねてました。今回はそれ以来となる久々の来日公演で、新譜リリース直後のタイミングでのライヴ。加えてマイケルが神経を病んで7月のライヴを全てキャンセルしたとの報もあり、前回以上の期待の傍ら、若干の不安も抱えつつ、マウンテンステージへ。
定刻を過ぎると、バックビジョンに『Gossamer』のジャケットが映し出され、アルバム1曲目の「Take A Walk」のイントロが流れ始めます。この時点で観客の皆さん、大歓声。メンバーが登場し、演奏が始まるともうフロアは跳ねまくり。そしてサビは大合唱。ついこないだ出たばっかりのアルバムの曲なのに・・・。『Gossamer』というアルバム、そしてパッション・ピットというバンドが私の想像以上に熱烈に愛されていることを、1曲目の時点でもう実感してしまいました。
もうこうなるとフロアの熱は止まりません。マイケルもそれに乗せられて、元気にステージ跳ね回りながら歌います。特に「The Reeling」や「I'll Be Alright」は、歌詞に表れるマイケル自身のパーソナルな辛さはそのまま抱えたうえで、最高の気分を全員で分かち合おうと全力で奮闘しているように見えて、「よくそんなに頑張れるなぁ」と感心してしまいました(そして今回も、やっぱり涙…!)。
サウンド面については、『Manners』の頃と比べて更に弦楽器の出番が減り、代わりに女性のキーボードが入ったこともあってより柔らかで重層的な音になっていました。このサウンド構成が最も活きたのが、中盤で披露された美メロR&B風ナンバー「Constant Conversations」。広いマウンテンの空間に広がる音のレイヤー・・・夏の暑さとは違う、優しい温かさに包まれたひとときでした。死ぬほど気持ち良かったです。
ラストは「Sleepyhead」「Little Secrets」の鉄板2曲で、がっつりフェスらしく盛り上げて終了。〆に近づくにつれて人が増えすぎ&圧縮しすぎで、フロントエリアにいた私はだんだん上に飛べなくなっていきました苦笑。そんなこんなで大いに盛り上がったパッション・ピットでしたが、約50分は少し短く感じましたし、『Gossamer』からの曲も4曲だけ(「Mirrored Sea」も聴きたかった!)だったのはやや物足りなかったかもしれません。ただライヴの内容自体は、間違いなくベストです!!マイケル・アンジェラコスという人は結構危なっかしい人*1なのであまりに期待するのは酷かもしれませんが、こんなライヴ見せられて「また近いうちに観たい!」と思わないのが無理ってもんなので、とにかく早いうちに、単独来日公演希望です!!!


Franz Ferdinand

Passion Pitの余韻に浸りつつ、マリンへ移動。お休みしつつスタンドで観よう…と思っていたのですが、グルーヴがヤバすぎて2曲目の「No You Girls」で早くもアリーナへ突入。4thアルバム制作前の“お試し”的なライヴだろうと思っていてあまり期待していなかったのですが、なんのことはない「This is Franz Ferdinand!!」でした。最高。特に、3rd収録の「Can't Stop Feeling」が原曲とはかなり違うアレンジが施されていて、原曲以上に踊れるビートになっていたのが素晴らしかったです。おまけに、その踊れるビートのままドナ・サマーの「I Feel Love」に突入するあたり、古典的なクラブ/ディスコ文化への愛情がビシバシ感じられました。こうやって文化というものは繋がっていくんでしょうね。
ちょっと気になったのが、バックの映像。1stの曲(新曲も?)のときは謎のおっさんの顔で固定、それ以外では曲によって様々なヴァリエーションの映像が流れていましたが、これが意図するところは何だったんでしょう?未だに全く想像つきません…。


the HIATUS

昨年リリースされた『A World Of Pandemonium』は日本のポスト・ロック史に残る名作だと思います。まあ、細美武士氏にポスト・ロックなんてやってほしくない、ELLEGARDENみたいなのに戻って来てほしいと願っている人も多いんじゃないかとは思いますが、とりあえずこの1枚があったからこそDeath Cab for CutieSigur Rosの間というとんでもないスロットに入ることが出来たわけで。
そういう事情があるので、個人的には今回のハイエイタス、『A World Of Pandemonium』の完全再現でも良かったんじゃないかなーと思ってます。もし万が一そうだったら全部観よう…と思っていたのですが、当然そんな訳はなく、感想も特になしでLITEを観に移動。


■LITE

ビーチステージ、どうやらゲリラ豪雨の影響でステージ進行が遅れていたようで、LITEのステージも30分近く遅れて開始。ビーチの遅延、どこかでアナウンスされてましたっけ?私が聞き逃し・見逃していただけなら申し訳ないんですが、クリエイティブマンのここまでの運営を考えると…ちょっと疑わざるを得ません。
次のSigur Ros開始までにはメッセに戻りたかったので、結局LITEのライヴを観れたのはわずか5分。ゲストのCarolineも出て来ず、正直時間無駄遣いしちゃったなー、Green Dayちょっとでも観れば良かったかなー…と悔恨しつつ、メッセへ逆戻り。


Sigur Ros

正直私はSigur Rosに関しては、前作から入ったにわかです。今回も「警告」が聴ければ満足かなと思っていて、その「警告」がかなり早い段階で来たのであとはフロア後方で体育座りして聴いてました。
とにかく音の浮き沈みが激しい。長野出身の私は、「この音楽は山みたいだな…Mountain Stageだけに」とかくだらないことを考えつつ、次第にウトウトし始めてきます。周囲も結構ゾンビ化している方が結構いらっしゃって、でもシガー・ロスに関してはこういう聞き方もひとつの正解だなあ…と思ったところで、私もスイッチ・オフ。ゆえに中盤の記憶がありません。目覚めたらヨンシー様が超人的なロングボイスを響かせ、そして名曲「Hoppipolla」。暗めの前半から、(中盤わかりませんが)徐々に幻想的な花びらが開いていく内容でした。まさに芸術。いいもの観ました。



・・・・・・・・・<<2日目>>


■FLiP

4人組ガールズバンド。曲もステージングももう一歩・・・といったところ。ボーカルの方はどうもフー・ファイターズがお好きなようで、腕を振り上げて観客を煽る動作は確かにデイヴ・グロールっぽかったです。


Vintage Trouble

灼熱のマリンでソウル&ファンク!華麗にターンを決めながらシャウトする黒人ボーカリストさんが、50〜60sの雰囲気たっぷりで格好良かったです。
この日のマリンはこのあとカオスティックなアゲアゲパーティーモードに入ってしまうのでなかなか近寄り難かったのですが、正直「2日目のマリンはヴィンテージ・トラブルだけでお腹いっぱい!」と思えるような好アクトでした。


■Kindness

メッセに戻ってカインドネス。奇妙なクネクネダンス、台車で滑走など、もはやアーティストというより芸人でした。雑誌の表紙飾れるほどのイケメンなのに勿体無い…(苦笑)。


■Tribes

純製UKロック。と、文字にすると私の好きなジャンルドンピシャなはずなのですが、2曲聴いた時点で「う〜ん・・・しっくりこない・・・」と思い悩む結果に。Tribes、確かに上手いしルックスもいいんですが、今時ここまではっきりしたストレートなロックンロールで反応しようにももはや反応できないのかもしれません。
でも、ヴァクシーンズは凄く良いと思ったんですよね。この微妙な境目が、自分でもまだ良くわかりません…。


■Glen Check

こっそり今回楽しみにしていたアクト。出身は韓国、しかし韓流を支える主婦層からの知名度はほぼゼロ(というかそもそもアイドルではない)、そして場所は悪名高きIsland Stage!絶対人いない!!しかし、音源聴いて「これはもしや、デジタリズムに肩並べちゃってるのでは?」と思うほどの期待値があったので、TOYやSPECTORを捨て、孤島状態のIsland Stageへ決行。
ステージに着くと、韓国で行われたフェスのタオルを肩にかけた女性が数名陣取っていたりして、それなりに人気があることを伺わせます。定刻13時、ライヴスタート。メンバーは3人とも真っ白な衣装で統一(怪しさはナシ)。バンド名やアルバムタイトル(『オート・クチュール』)から「ファッションと音楽のつながり」を感じさせてくれるGlen Checkですが、ステージングにもこだわっている模様。素敵です。
そしてサウンドですが、もうこれが断トツに踊れるエレクトロ・ロック!2曲目に披露した「French Virgin Party」をはじめ、踊れる、踊らされてしまう曲が次から次へと繰り出される。近くにいた外国人グループがアホみたいに踊っているのを見て、当たり前かつありがちですが「ああ、音楽に国境なんてないんだなあ」と、幸せに感じました。
しかし、サマソニ直後に日韓でちょっと面倒な事態になってしまったため、彼らのライヴを日本で観れるのはしばらく先になってしまいそう…。Glen Checkだけではなく、今回のサマソニにも参加した「チャン・ギハと顔たち」など、韓国のインディーシーンはいま面白いことになっているだけに、とても残念。クラブ問題もそうですが、良い文化を政治の力で無駄に阻害されてしまうのは本当に不幸なこと。ここはあくまでも自由なままであってほしいです。


モーモールルギャバン

Glen Checkで踊りすぎたため、Other Livesを諦めて着替えてからRainbow Stageへ。「ここ最近のモールルのライヴは凄まじい」と聞いていたので、昨年のNANO-MUGEN FES.以来1年ぶりに観に行ったのですが、いやー、1年でここまで成長できるものなのか!と感心しました。
まず圧倒的なショウビズ精神が身についた。こう書くと嫌悪感を抱く人もいるかもしれませんが、つまりはドラムのゲイリー・ビッチェのMCがちゃんとライヴの流れに沿っていたり、銅鑼を叩く以外は大人しかったユコ・カティさんが全編通してはっちゃけていたりと、これまでは断片的にしか表れていなかった「自称J-POPの精神」がライヴ全体に行き渡るようになった、ということです。
あと、楽器と歌が上手くなりすぎている。3人とも超人レベル。なぜあんなに弾いたり叩いたりしながら歌えるのか。なぜT−マルゲリータ氏はあんなめちゃくちゃなゲイリーのドラムに合わせたベースが弾けるのか。さっぱり分かりません。
そして作品数を重ねたことで、フェスの持ち時間であれば全曲盛り上がる曲で押しきれるようになった。今回のサマソニでの盛り上がりも凄まじくて、モッシュのお客さんたちがチャン・グンソク目当ての麗女の皆様をどんどん後ろへ弾き飛ばしておりました。ところで、前方でバッグの中身が携帯から財布まで大散乱していたのですが、持ち主の方大丈夫だったんですかね…。
こんな感じでちょっと感動すら覚えたモーモールルギャバンのライブ。SXSWとか行って、海外進出しちゃってもイケるんじゃないか?と真面目に思ってます!


■Azealia Banks

DJ+ダンサー2人を従えてのライヴ。とにかくフロウが早い早い!ヒップホップは門外漢な私ですが、それでも舌を巻いてしまうほどの技術力。手脚が長くて美人だし、将来スターになる可能性を強く感じました。ミックステープだけじゃなく、正式な盤としてのアルバムが出たらドカン!と行くんじゃないかなー。


THE CARDIGANS plays Gran Turismo

Sonicで次のPOLYSICSが始まるまで観る。カーディガンズといえば軽快な「Lovefool」ですが、この日は『Gran Turismo』の世界観を示すライヴということで、重厚かつ雄大なライヴ。Mountain Stageの空間にとても合っていました。
私は聴けなかったのですが、「Lovefool」もやっていた模様。どんな感じだったか、結構気になります。


POLYSICS

ポリのライヴは十数回と観ているし、わざわざここで汗だくになって次のFoster The Peopleを迎えなくてもいいよなー…などと考えて後方待機していたのですが、SEの「Heavy POLYSICK」が鳴り出した途端前方に駆け出してしまうという、悲しきファンとしての習性(笑)。いやー盛り上がってしまいました。
サマソニはあのDEVOと競演した2008年以来、そして「サマソニの核」であるSonic Stage初登板、加えてかなり遅めのスロットでの登場ということで結構気合が入っていた模様。今までライヴで聴いたことのない「ポニーとライオン」までやってくれました(しかもアレンジが全然原曲と違う)。単純に「フェスで観るPOLYSICS」とは一味違うポリを観れて良かったです。


■Foster The People

なんでSonic Stageみたいな小さなステージにしたのか、クリエイティブマン清水さんを小一時間問い詰めたい気持ちでいっぱいだった本日のマイ・ヘッドライナー。案の定ぎゅうぎゅう、でも女子人気が高いせいかちょっと優しめのぎゅうぎゅう具合(?)でした。
ここ最近のフェスと同様「Miss You」でスタート。新曲も交えつつ、アルバム『Torches』収録曲を中心に進みます。
中心人物のマーク・フォスターは曲ごとに楽器をとっかえひっかえ。彼の頭の中では、この楽曲の中ではどの楽器をどのように演奏すれば聴いている方の快楽指数が最も高くなるかが判断ついているんだろうなー、と思いました。天才的。
ラスト「Pumped Up Kicks」ではアルバムジャケットに描かれたモンスターが巨大バルーンで登場。ショウとしてもばっちりだったFTPのライヴ、なんでMarineかMountainにしなかったかなあ…と最後までぶつくさ言ってしまうスケールの大きさでした。


■GARBAGE

グランジ以降」を感じさせる復活ライヴ。上手くやっていたら、今頃フー・ファイターズと肩を並べていたかもしれないのに…と、なんだか惜しい気持ちになりました。


このあとRihannaを少し観る予定でしたが案の定押していて、New Orderが始まる時間になってしまったため結局登場シーンも観ずにメッセへバック。
昼のヴィンテージ・トラブル以来のマリンでしたが、スタンドの様子がライヴマナー以前の様相になっていてうへぇ・・・となりました。


New Order

いやいやいやいや、これはひどい当て付けだな!・・・一言でライヴの感想をいうならば、こうなります。
いきなりイアン・カーティス絡みの楽曲「Elegia」でスタートし、NOの名曲をオールタイムで網羅、そしてアンコールでは「FOREVER JOY DIVISION」の文字とともに「Love Will Tear Us Apart」。これはどう考えても、ニュー・オーダー、そしてジョイ・ディヴィジョンの歴史と意志を元ベースの誰かさんから守ろうとするバーニーの意図丸出しのライヴでした。
ただ結果として大名曲のオンパレードになったので、多少演奏に締まりがなかったとはいえ、ポスト・パンク〜エレクトロ、ダンス・ロックに至るまでの歴史が降り注いでくるようなライヴではあったと思います。
ちなみに私の周りで踊っていた方々、踊り方は凄く若々しいのですが顔見たら結構年いってそうな方が多かったです(失礼)。これからの高齢化社会を元気にさせるのは、ニュー・オーダーの音楽かもしれないです(お年寄りに対してさらに失礼)。


このあとCalvin Harrisで最後まで踊って、今年のサマソニ終了。
今年は洋邦のくくりのみならず、Glen Checkのようなアジア圏のアクトや、きゃりーぱみゅぱみゅのようなアイドルまで、様々な分野のアーティストを観れました。ジャンルが雑多になり、一人の人間がいろんなジャンルの音楽を聴くようになった今、複数のステージに複数のアーティストが出るフェスティバルが最大公約数をとるとこういう形になるんだなー、というのが今年のサマソニを通じてよく分かりました。
2013年も、この形で行って欲しいです。ただ、アジア圏に固執するのは勘弁。あと、大きなステージで見せるべきアーティストはちゃんと大きなステージで見せてほしい。要望としては、このくらいかな。

*1:Passion Pit・マイケルの人柄は今回のサマソニを締めたNew Orderの前身・Joy Divisionイアン・カーティスにも少しだけ繋がるかも?などと考えてしまうのは、それこそ本当に危ないですかね…。