DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

THE BAWDIES「ROCK ME BABY」

ROCK ME BABY

ROCK ME BABY

おそらく、これを聴いたいわゆる「BAWDIESファン」の反応は、「なんか刺激に欠ける」とか、「これまでの曲に比べて元気がない」とか、「もしかしたら、TV向けにするために日和っちゃったの?」といったものが多いと思います。
実のところ、私も最初に表題曲を聴いたときは、メロディは良いけれどシングル曲として出すにはふさわしくないんじゃないかなー・・・とちょっぴり思いました。


ただ、今のBAWDIESのバンドとしての「在り方」を考えると、こういう作品が出てくるのは当然かもしれません。


THE BAWDIESというバンドのメインテーマは、古くから存在するソウルミュージックやロックミュージックを自分たちのスタイルでもって現在の音楽シーンで再燃させることである、と私は捉えています。


「EMOTION POTION」を作った時も、「HOT DOG」を作った時も、微妙な状況の違いはありつつもそのテーマは変わらず存在していたと思いますが、今のBAWDIESはソウル/ロックを伝播させる対象をより大衆の方向へ・・・いや、大衆というよりかは、「あまり積極的に音楽を聴こうとしない人たち」に向けて拡げていこうとしているように思います(この辺りは、最近のアジアン・カンフー・ジェネレーションの志向ともリンクしていますね)。


そして今回リリースされた「ROCK ME BABY」。この曲は、まずなにより、わかりやすい。メロディも歌詞も、ボーカルROYさんの歌い方までも、とても簡素です。
その簡素化の効果で、良くも悪くも、聞き流しやすくなっているところもポイントでしょうか。渋谷スクランブル交差点のビジョンで流れていても大丈夫なくらい、聞き流しやすいです。


しかし、ここまで聴きやすい曲になっていながらも、この曲で初めてBAWDIESの音楽に触れた人はやっぱり「えっ!?日本人でこんな渋い曲やる人いるの!?」と思ってしまうのでは。この反応、いわゆる邦楽ロックファンが初めてBAWDIESを聴いて思ったことと同じなのですが。


つまり、これまで音楽好きに向けて放っていたものと同じ刺激を、今度はより多くの人に向けて放っているだけで、本質的なところは変わらず「ソウル/ロックの伝道師」のままなんだなー…つまり、本質的な「在り方」はなにひとつ変わっていないんだなー、というのが、今回のシングルを通じて「THE BAWDIESというバンド」に抱いた感想です。




―――ソウルミュージックの世界に存在している偉人たち―THE BAWDIESの面々が愛するアーティストでもあるレイ・チャールズジェイムス・ブラウン、リトル・リチャードといったキャラクターたちは、楽曲もさることながら、その「在り方」が多くの人々に支持され、人気を得ていました。


THE BAWDIESもそうした先人たちの意志を引き継ぎ、より多くの人々の前で「Soul」と「Rock」の旗を高々と掲げながら、強く存在していこうとしている。


彼らがその旗を自ら降ろそうとしない限りは、私も彼らの音楽とはゆるやかに、長く付き合っていくことになるんじゃないかな、と思っています。