DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

柴田聡子"2018年のルーフトップ・コンサート" @六本木アートナイト2018

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都が主催している「六本木アートナイト」、ようやく初めて行けました。

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お目当ては、柴田聡子さんが出演する「2018年のルーフトップ・コンサート」。ヒルズアリーナに突如現れた、この5mくらいあるタワーがステージです。

前半はタワーの下で男性4〜5人がボコり合い、タワーからはピン球から台座など、大なり小なり色々なものが飛び出てくるカオスな展開。
時折、タワーから出て来たものを互いに投げつけあって、それをきっかけに乱闘が始まることが何度かあったんですが、これを見たとき「Twitterにおける炎上みたいだな」と思いました。なんらかの燃料が投下されると、すぐに火がついて見ず知らずの人々が突然バトり合う、秩序なき世の中。ああ、これも2018年か…。

そこからドラムセットも運ばれて、より一層カオスが助長されますが、しばらくすると「鎮火」して、みんなタワーの中へ。
そのタワーの穴から、ひょっこりギターと共に現れたのが柴田聡子さん。先ほどまでの空気とは全く異なる、穏やかな雰囲気で弾き語りを始めます。
しかし、一曲歌い終えると、再び穴の中へ。お客さんたちからは「え、まさかこれで終わり…?」という困惑が広がります。が、今度はタワーの中腹あたりにある別の穴から、ギターとともに上半身だけ乗り出す形で再登場(どよめくお客さん)。再び一曲歌って、ついに屋上へ。ようやく"ルーフトップ・コンサート"の開始です。

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(累計)3曲目までは弾き語りでしたが、その次の楽曲では、先ほどまで荒らし放題だったドラムの人が登場。ギター+ドラムの2人で何を歌うか…と思ったら、なんと歌い始めたのは安室奈美恵さんの「Baby Don't Cry」!うそでしょ(笑)!
タワーの仕掛けたちもリズムに合わせて動いて、ようやく会場全体に一体感が生まれたところで、公演終了。前半のどんちゃん具合が嘘みたいに綺麗にまとまりました。

パフォーマンス全体から感じたのは、「崩壊と再生って、本当にすぐ側にあるんだな」ということ。わずか45分間で、崩れた秩序が同じ場所で回復していくプロセスを見て、そう思いました。
最後の曲が安室ちゃんカバーだったのも良かったです。安室奈美恵さんも、「引退」という形でこれまでのような活躍は出来なくなってしまうけれど、同時に新しい人生がそこに待っている。そういうアーティストのカバーを最後に持ってくるあたり、すごく説得力のあるパフォーマンスでした(しかも曲が「Baby Don't Cry」っていうね…いやいや、泣けちゃうでしょ!)

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タワー周辺で瓦解と再生が繰り広げられている間、傍のエリアで淡々と作られていたのがこのミニ・ガラクタタワー。これも壊れていっている場所のすぐそばで新しいものが生まれている、ということの象徴のように感じられました。

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アートナイトで他に観たのは、サントリーウイスキー「響」の展示。スポンサーの関係もあるのでしょうが、「酒がアートになる」という発想自体はとても面白かったです。あと、ウイスキー出してくれたカウンターの兄様方が全員イケメンで萌えました(爆

他にもヒルズ内の展示をいくつか見て帰宅。本当はオールナイトで全部の会場回ってやんぞ!ぐらいの気合いはあったのですが…。
まあこうやってオールナイトで街を巻き込むイベントって他には「下北沢サウンドクルージング」くらいしか知らないので、単純に街とアートの持つ力に感心しています。これからも「街はアートの夢を見る」というテーマ通り、長年続いて行ってほしいイベントです。