DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

FUJI ROCK '17 (2) 2日目

2:30就寝、7:00少し前起床。約4時間半の睡眠後、眠い目をこすりながら場外エリアの&MOSHランニングステーションに走って向かいます。恒例となりつつある朝のイベント「フジロックラン」に参加するためです。
モデルさんによる体操、ゲート前での集合写真の後、スタート地点へ移動(ちょうど泊まっていた体育館の近くでした)。私たちが走ったコースは3km強の山道を登る、なかなかのストロングコース。序盤はトレイルランをやっているお兄さんたちに先行されましたが、地道に登っていったら予想外の先頭フィニッシュ!賞品としてGPSウォッチをいただきました。企画していただいた『走るひと』誌および&MOSH関係者の皆様、ありがとうございます!

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帰りの下り坂は、他の参加者の方々とおしゃべりしながらダラダラ下りました。1日目の感想や今日楽しみなアクト、あるいはランに関する裏話まで色々聞けて良かったです。私はひたすら「The xx最高でした~!あーでも今日のLCDも楽しみです~!」とひたすらしゃべっていただけのような気がしますが笑。
こんな感じで、音楽好きランナーとしてのたしなみ?をちょちょっとこなして、フジ'17の2日目スタートです。


・The Ramona Flowers (Red Marquee)

Stereophonicsの前座を務めていたり、リーダーがダイソンの創業者の息子だったりすることで多少の注目度はありますが、本国UKでもまだまだ「無名」のラモナ・フラワーズ。
シンセ主体のロックでしたが、パフォーマンスは音源でチェックしたときよりもかなりパワフルに感じました。SMASHとしてはこれ推したいだろうなぁというのが分かりましたし、同時に無名のバンドでもここまで出来る、UKロックの底力のようなものも感じ取れました。



サンボマスター (Green Stage)

暑苦しいくらい熱いライブをやっているのは分かるのですが、音よりも言葉ばかりが先走っているような気がしてあまり乗れませんでした。私はそれを「説教」と呼ぶんだぜ。


・The fin. (Red Marquee)

先程のサンボとは真逆の、柔らかくクールなビート。ふわふわと包み込まれるようで、ちょうどフジロックランの疲労感もやってきたこともあり、後半は後方の空いてるスペースで眠ってました。いつぞやのサマソニでのシガー・ロスも爆睡でしたが、別に寝ちゃうのは退屈なわけではなく、それはそれで音楽に魅せられているんです。盛り上がるだけじゃなく、こういう楽しみ方も伝わってくれたら良いのですが。伝われー!


・PUNPEE (White Stage)

期待していた「お嫁においで2015」は聴けず(最初にやったらしい)。でもレインコートを着てお客さんと同じ目線でパフォーマンスする姿は好感持てました。


・Day Wave (Red Marquee)

始まった瞬間から良い音の薫りしかしなかったDay Wave。今どきの若者は大抵ヒップホップかR&B(もしくはそれらの影響下にあるもの)しか聴いていないと思しきアメリカで、インディロックのDNAをきちんと継いでいる。でも決して意地張っているわけではなく、生活のなかにあるものをナチュラルに音にしているような感覚がある(まさに゙Day Wave゛)。New Order「Ceremony」のカバーも、国籍とか時代とかに縛られずに自然体で音楽をやっているような感じがする一幕でした。


・The Amazons (Red Marquee)

雨の中、グリーンとレッドの往復が続きます。雨だとレッドマーキーを雨除けに使う人が多くて、UK新人のThe Amazonsでもテントに入れないくらいの人、人、そして椅子。この辺から、レッドマーキーでのお客さんの振る舞いにイライラを覚えるようになります。
そんなわけでテントの外、ステージ上の車が燃えているバックドロップがギリギリ見えるかなー?という位置でなんとか観たThe Amazons。やはり新人だけに拙さはありましたが、ギタリストだけはめちゃくちゃテクニックありました。しかもハードロック仕込みの。
ロックバンドが盛り上がらない時代と言われつつも、UKではRoyal Bloodが若手を爆音で牽引して、Circa Wavesも新作で重めの方向に移行したりしている。The Amazonsもその流れを受けて、結構ハードめな音を鳴らしているのかな?と感じました。これからまた爆音系ロックバンドが若者の間でウケる日が来るのでしょうか?


Cocco (Green Stage)

全員ハッピを着たサポートメンバーの賑々しさとは裏腹に、1曲目は「けもの道」。重い。めちゃくちゃ重い。個人的には今回のフジロックで最も重く感じた曲でした。前日のQOTSAより、メンタルの重量感では勝っていたと思います。
ただ、別に重苦しい感じばかりではなく、ヒット曲「強く儚い者たち」もあるし、時折笑顔も浮かべながら歌うこっこさん。この人も「ありのままの歌」を歌う人なのかな、となんとなく感じました。


・never young beach (Red Marquee)

超満員。椅子を蹴散らしながら、どうにかPA横までたどり着いたのがスタート10分前。今日はレッドで満足にライブを楽しむのは難しそうだな、と若干諦めモード。
ただ、ライブは良かったです。いきなり「明るい未来」で始まってくれたおかげであらかた開始前のイライラが解消されたし、中盤の゙やりたくないなら やめちゃえばいいよ゛と歌う「CITY LIGHTS」であーもー環境のことなんてどーでもいーやー、となりました。ただ、妙に焦っていて、やりたい曲全部やるには時間が足りないのかな?と思ったらなぜか巻きで終わったのは不思議でしたが。
ちなみに、この後の「ヤシの木フラミンゴ」のことは、そもそもそんな名前の出演者がラインナップされていること自体知りませんでした。情弱ゥ!


The Avalanches (Green Stage)

雨で足下は田んぼ状態でしたが、楽しく踊りました。サポートの女性vocalも男性ラッパーも、どちらもパワフルで良かったです。
ただ、(昨年のキャンセルで期待値が上がっていたとはいえ)メインステージでやるようなライブだったかな?とは正直感じました。音のスケールはそもそもないし、ユニークな表現をやればやるほど存在感がオルタナになっていくので、レッドとまではいかずとも、ホワイトくらいでちょうど良かったのでは?と思いました。もしかすると、オザケンと入れ替えていたら一番平和だったのかも。


・The Lemon Twigs (Red Marquee)

行ったらパンパン過ぎて何も見えない、音もよく聞こえない。でもフロア後方には椅子がたむろしているのが見える…これ絶対、ただの雨宿り連中を追放すれば、アヴァランチーズ終わりで移動してきた人たちもみんなきちんと聴ける位置でライブ観れるはず…。
もうレモン・トウィッグスがどうとかではなく、環境に嫌気が差して観るのを断念。


・Death Grips (White Stage)

そんなわけで失望感を抱えて「とりあえずデスグリでも観るか~」という感じで向かったホワイトステージでしたが、そこには雨もオザケン待ちも気にしないタフガイたちと、タフガイを煽り続けるステージ上のアブナいハードコアHIP HOPerが繰り広げる痛快な風景が待っていました。DJ?が鳴らす爆音だけでもヤバいのに、ドラムが豪腕すぎて完全に暴力。これ、元オリーブ女子の皆様大丈夫でしたか?ちゃんと生きてましたか?
Death Gripsも復活劇があったとはいえ、正直ホワイトの遅めの時間帯に据えられるようなアクトではないです。そんなのを敢えてここに置いたのは、明らかにオザケン待ちのフロアの雰囲気を、茹で上がり過ぎて伸びたまま固まってしまった麺に氷水ぶちこんでほぐすが如く無理矢理壊してやろう、というSMASH側の意図があったのでしょう。もしかしたら、昨年BABYMETALの前にRobert Glasperを置いたら客数はいるのに全く盛り上がらなかった、という事態の反省を活かした形なのかもしれません。SMASHのパンク精神を感じた並びでした。


Cornelius (Green Stage)

さぁそして、今回のフジロック最大の目玉である元フリッパーズ・ギター並びの開始です。まずは個人的に初見のコーネリアスから。
白い幕が降りて「いつか/どこか」でスタート、宇宙空間を想起させる映像と音が完全にシンクロする壮大なステージングはグリーンの空間にぴったり。
その後も映像と演奏がぴったりとかみ合った(ちょっぴりピタゴラスイッチらしくもあるな、と思いました)、五感が喜ぶライブを繰り広げてくれたコーネリアス。音楽的にはコアで、結構小山田さんの嗜好にまみれた感じなのですが、器用なサポートメンバー(特にどんな楽曲でもぴったり合わせてくるドラムのあらきゆうこさん最強)と、作り込まれた映像のおかげで、それこそ言語が通じない人でも楽しめる「レンジの広い」ライブになっていると感じました。だからこそ、海外でもプレイすることが出来ているし、グリーン・ステージに立つのも納得でした。


小沢健二(White Stage)

私はコーネリアス終了した途端にホワイトに向けてダッシュしたのですが、グリーン入り口のトイレ付近で早くも大集団に捕まり、ホワイトステージなんて全然見えない位置で完全に人の流れが止まってしまいます。これは音だけ聴くしかないか…と諦めていましたが、それでも諦めきれない人たちが導線無視して突進する(係員ガチギレ。そりゃそうだ)など、フジロック史上かつてないカオスの中ライブスタート時刻に。相変わらずステージ見えない中、聞こえてきたのはいきなりの「今夜はブギーバッグ」!ホワイトに辿り着けない人も、合唱&合いの手で盛り上がります。
ようやくステージがギリギリ見えるエリアまで到達、そこで行われていたのは超豪華な生演奏カラオケ大会でした。名曲の数々が、画面に映し出される歌詞と共に次々に繰り出される。新曲もありましたが、正直このときのライブは「カラオケ」しか印象にないです。
オザケンも環境問題など、世界の様々な部分を見てきて、それらが確実に楽曲や活動姿勢にも反映されているとは思うのですが、それを届けようとしている範囲はとても収斂されているような感じがしました。先刻のコーネリアス小山田圭吾)とは真逆。これはお互い、相容れないわけだわ…と、2人のライブを立て続けに見てはっきりと認識してしまいました。どっちのスタンスが今の世の中に求められているのかは分かりませんが、世界に通用する音楽が好きで、個人的なエゴとかもなるべく肯定したい私はコーネリアス派、ですかね。


Aphex Twin (Green Stage)

フリッパーズ狂想曲をよそに、グリーンでは淡々と自分の世界を構築し始めていたリチャード・D・ジェイムス。私がグリーンに着くと、強烈なアタック音とともに、ドラえもんがポリゴン状態のままグニャングニャンに弄られていました…。
盛大な日本弄りは今回話題にもなりましたが、個人的な感想は「エイフェックス、ライブでは意外と踊れるんだな!」というもの。LCD前のいいウォームアップにもなりました。


LCD Soundsystem (White Stage)

祝復活!のLCDオザケンほどではないにせよグリーン→ホワイトの道程はなかなか混んでいて、暗いなか川をバシャバシャ渡ってホワイトに辿り着こうとする輩も現れました(良い子はマネしないように)。
「Us v Them」から始まったライブは、とにかくダンス天国でした。ジェイムス・マーフィーのエモさ、刻み続けられるビート、巨大なミラーボールの誘い…1日中動き回った疲れとビールによる酔いも相まって、このまま自然と一体化してしまうのでは?と思ってしまうくらいの合法トリップ体験でした。
特にジェイムスが「次は新曲を2曲…いや、3曲やるよ」と言って放たれた「Tonite」「Call The Police」「American Dream」がどれも秀逸。来る久々の新作に向けての期待も高まって、嬉しいライブでした。個人的には「You Wanted a Hit」も良かったなあ。改めて、LCDは名曲が多い!復活おめでとう!