DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

Fuji Rock Festival '15 (Day1)

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 2年ぶりのフジ、今年は初日・金曜日のみ参加です。毎年「全日行きたい…。」と思っているのですが予定がつかず、今年も日曜日に駅伝のチーム内選考会があるため止む無く初日のみの参加。走るの辞めたら、絶対全日参加してやる!と、今回も心に誓うのでした・・・。


 観たアクトは、出演順にThe Vaccines、The Districts、サニーデイ・サービス(終盤のみ)、Drenge、ONE OK ROCK(前半のみ)、Kitty, Daisy & Lewis(ヘブン及びパレスの2回)、Boom Boom Satellites、MOTÖRHEAD、Royal Blood、Foo Fighters(ヘッドライナー!)、Flume、Jam City、Max Cooperです。以下、1日の流れをメモしておきます。


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 朝6時半起床、ジョグして8時半に出発。新幹線+シャトルバスで12時10分に苗場着。12時50分からのThe Vaccinesに間に合えばいいかな…と思っていたので余裕かな、と思いきやリストバンド交換所がまさかの大渋滞。交換まで45分もかかり、The Vaccinesの冒頭3曲を見逃しました(泣)。

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△今年からシャトルバスは行きだけ500円かかるようになりました。


・The Vaccines @Green Stage

 3rdアルバム「English Graffiti」のジャケットに合わせて、深紅のバックドロップを掲げて演奏したThe Vaccines。先述の通り、遅刻してしまったので4曲目「Dream Lover」から観ました。
 早速、次の「Wetsuit」からハンドマイクでステージを闊歩しながら歌うVo/Gtのジャスティン…しかし、コードの長さが足りずにビィーン!となってしまい、ステージの端っこに倒れ込んでしまいます(笑)。それでも、倒れ込んだまま熱唱するジャスティン…今回、えらく気合い入ってないか??
 ジャスティンのやたらと気合いの入った演奏はその後も続き、フーファイのために用意された花道に何度も出てきたり、ギター弾きながらのときも、人差し指を突き上げながら大熱唱したり。もともと熱量のあるフロントマンではありますが・・・。
 The Vaccinesも、シーンに登場していきなり2作連続でUK1位を獲って「これからのUKロックシーンを担う存在!」ともてはやされたのも束の間、早くもその次の世代が活躍し出して影が薄くなってしまった感が否めません。きっとフジを含めた昨今の演奏は、彼らなりに今のシーンに乗り遅れずに対抗していこう、という気概の表れ…なのかもしれません。
 今回の個人的ハイライトは、「20/20」から「Teenage Icon」へ、新旧の盛り上がり曲を間隔空けずに繋げてぶつけてきた瞬間。こうやって盛り上がる曲を立て続けに決められれば、しばらくはシーンの柱として活躍していけるでしょう。課題は、5人目のメンバーとして参加していたキーボードetc.のサポートメンバーの音と、バンドの音のかみ合わせがイマイチ良くなかったこと。これが改善されれば、「Give Me A Sign」みたいな曲が巨大なスタジアムで鳴っている場面も容易に想像できることでしょう。

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△本日のフェス飯:クイーンシーバのエチオピアプレート。腹持ちが良く、栄養豊富。


・The Districts @Red Marquee

 前夜祭にも出演していたThe Districts。その時は序盤良くなく、だんだん良くなったという話を聞いていたのですが、この日は最初から全開で、そのままの勢いで50分やりきったように思います。そう思えるくらい、確実に良かったです。
 曲はサイケデリックでありながら、手拍子が打てるくらいインディーロックらしいキャッチーさも持ち合わせていて、意外とフレンドリー。全ての曲が割と長め(5分オーバーが大半)ですが、全然ダレません。これはすごい。
 特に良かったのは、ギターのPat Cassidy。全体的に無骨で粗っぽいのに何故かまとまるバンドの音を象徴するように、かなり乱暴なストロークの割に、きちんとハマるべきところに音がハマっている。本当にすごい。
 なんというか、やりたいようにやりたい、鳴らしたいように鳴らしたい!という気持ちを、フィラデルフィアの広大な大地ががっしりと支えているかのような、そんなイメージの沸く音でした。彼ら、ビックになりそうです。


サニーデイ・サービス @White Stage

 終盤3曲のみ。お客さんの、ゆるく楽しんでいる感じがいい。
 ラストの「サマー・ソルジャー」はとても心洗われました。


・Drenge @Red Marquee

 新作がNMEで9/10点の高評価を叩き出したオルタナ兄弟バンド。ライブではサポートベーシストを加えての3人編成でした。
 佇まいはクールでありながらも、熱量と音圧は天井知らず。このあと出てくるRoyal Bloodや、Slavesのように、最近のUKロックは必要最小限の要素でお客さんをブッ飛ばす力を持った若手バンドが主役になってきてますね。でもそれも分かる気がします。シンプルなほうが熱くなれるし、良し悪しもはっきりしやすいですから。
 ただ、演奏のカッコ良さとは裏腹に、MCは今回のフジで最低MC賞を贈呈できるほどのヒドさ(笑)。ドラムスRory Lovelessは曲間で頻繁に「ヤヴァ~イ」を連発し、しまいには「オナラしようと思ったら、ウンチでちゃった!」。どこでそんな日本語を覚えたのか…。そういえばサマソニ'13のFIDLARも「おしっこしたい、ウンコ垂れたい」言ってましたね。パンクベースのオルタナバンドのMCは下品、という認識が私の中で確立されました(笑)。

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△メンバーのお面を作ってきた方も(左側)。


ONE OK ROCK @Green Stage

 今年、最もフジロッカーたちの固定概念から外れていたアクトがONE OK ROCK。出演発表時は軽く炎上してましたね。ただ、いま国内で最も勢いと人気のあるロックバンドで、既に海外での活動も活発に行っているので、「世界と日本のロックシーン」を集約する目的を持つフジロックが彼らを出さない理由は無いと思うのです。そんなわけで、どんなライヴをこの舞台で見せてくれるのか、気になって観にいきました。
 レッドから移動してみると、予想以上に空いていて、演奏開始後でもするするとフロントエリアに入り込めました。前方は熱心なファンでぎゅうぎゅうでしたが、やっぱりフジロッカーたちの興味関心には入ってきていない様子。
 曲はさすが今の国内ラウドロックシーンの頂点にいるバンドだけあって、初っ端からガツンと場をヒートアップさせてくれます・・・が、すでにこの時から音に違和感を感じるというか、何か不自然なところがあるような・・・この感覚は何だろう??
 序盤で早くも聴きたかった「Deeper Deeper」が来た!…のですが、サビの「Mighty!story!」のところで入る「ハイ!ハイ!」のいかにもJ-ROCKっぽい合いの手があまりにダサくてゲンナリ。ファンにはお馴染みかつお約束なんでしょうが、初見の私は「えええ?そこで合いの手入れるの?」と思いました。普通に聴いてればカッコ良いのに…。J-ROCKのタコツボ意識みたいなものを序盤でいきなり感じてしまい、テンションが急激にダウン。フロントからすごすごと退散しました…。
 で、このあたりで先述の違和感もだんだんハッキリしてきました。圧倒的に浴びせかけてくる音ではあるのですが、あまりにもPAで音を膨らませ過ぎていて、生きている音に聴こえないんです。ドラムなんて特に、もはや電子ドラムに近いレヴェル。ついさっきまでDrengeの徹底的に生々しい音圧を受けてきたからかもしれませんが、だんだん聴くに堪えなくなってきて、結局開始25分で離脱。ワンオク、出演自体に意義はあったと思いますが、今のJ-ROCKシーンの悪い部分だけが目立ったし、バンド自体もこのまま海外進出したところで「東方の国から来た変わり種バンド」としか見られないんじゃないかな…と不安を覚えました。


・Kitty, Daisy & Lewis @Field Of Heaven

 ワンオクを早々に離脱してしまったので、さてどうしようか、ホワイトのJoey Bada$$も終わってしまったし、せっかくだから足を運ぶ予定の無かったField Of Heavenにでも行ってみようか…と思い、ボードウォークをビール片手にのんびり歩いてフジロッカーっぽさを演じながら(笑)、Kitty, Daisy & Lewisへ。
 到着したら、フィールドいっぱいにお客さんがいてビックリしました。ただ全体的にのんびりしている様子で、おそらくワンオクまでグリーンの後方で椅子に座ってのんびりステージ観ていた人たちがヘヴンに退避してきたのでしょう。私も、ワンオクとは180度違うオーガニックなサウンドでだいぶ耳が癒された気がします。
 KittyとDaisyが着ていた金と銀のムチムチ全身スーツに気をとられつつ、ブンサテ開始に間に合うように移動。

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△ヘヴン


Boom Boom Satellites @White Stage

 このバンドを取り巻く現状については良く知られていることだと思いますが、そういうことを吹っ飛ばすくらい、現在進行形でキレッキレのブンブンサテライトでした。
 わかりやすく盛り上がる代表曲は「Morning After」くらいで、あとは最近のアルバムからの曲が全て。しかし退屈になる瞬間が全くなく、ずっと上がりっぱなし。中野さんはあまりベースを持たず、川島さん・山本幹宗さん(ex.The Cigavettes)との3人でまるでシューゲイザーのようなギターノイズの壁を作ったり、電子音と福田洋子さんによる生音ドラムのガチンコバトルがあったり、川島さん・中野さんが左右のスピーカーに登ってエリアの隅々まで煽ったり・・・。そんな上がりっぱなしの構成の中、最後にまるで祈りのように歌い上げられた「STAY」は、いろいろな想いが湧き上がってきて涙が止まりませんでした。
 とにかく今現在、与えられたこの時間を皆で登りつめていきたい・・・そういう欲がピュアに表れた1時間だったと思います。今回のフジロック、音とパフォーマンスで最も心が動かされたのは、このBoom Boom Satellitesのライヴです。


・MOTÖRHEAD @Green Stage

 スラッシュメタル界の超大御所・モーターヘッド。レミーおじいちゃんの健康不安が囁かれていましたが、がっつりロックンロールしてました。さすがに休憩するシーンも多かったですが、フィルのギター、ミッキーのドラムがそれぞれソロプレイでその間を埋めてました。フィールドいっぱいのお客さんもすごい盛り上がり。すごいなあ。
 「3人だけのメタルバンド」ということで、ベテランでありながらも特異性のあるモーターヘッド。私にとっても新鮮な体験でした。あと、ウィルコ・ジョンソンと同じく、レミーもきっと死ぬまで同じスタイルでロックし続けていくんでしょうね。頭おかしいんじゃないかと思うけれど(苦笑)、そういうアーティストは信頼して観れますね。


・Royal Blood @White Stage

 前回の単独来日はチケット取りながらも結局行けなかったRoyal Blood。たった2人、されど必然の2人がステージに上がるだけで、テンションが上がります。
 「Come On Over」から出音を探りながらじっくりスタート、最初のヤマ場は3曲目の「Figure It Out」。終盤一気にペースアップする曲ですが、フィールド全体を巻き込む演奏のうねりが半端ない。演奏後のお客さんたちの沸き上がりも、同じく半端ない。これでこのライヴがすごいことになる、と確信しましたね。
 ドラムのベンが時折変な行動(ハイハット回しながら水かける、椅子に登って観客見渡すも結局何もしない、など)をとる以外は、いたってクールな2人。しかしその姿勢がハードロックのカッコ良さを更に増し、緊張感の中でじわじわ高まっていくフィーリングを扇動してました。あとはやはり、ベース1本でギターとベースの音を両方出すあの技術。まだアルバム1枚の新人なのに、もはや職人芸の領域でした。
 ラスト「Out Of The Black」で2人がダイブしたところまで見届けて、いよいよヘッドライナーであり、Royal Bloodがアメリカツアーで前座を務めたFoo Fightersへ。

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△Royal Bloodで盛り上がっていたツノ軍団。


Foo Fighters @Green Stage
 
 ようやく観れたぜ、Foo Fighters!前回来日はキャンセル、今回も直前にデイブ・グロールが骨折してピンチに陥るも、着座ライヴという形でツアーを継続することでどうにかこうにかフジまで漕ぎつけてくれました。
 巨大な「FF」ロゴの幕に覆われたステージから、「Everlong」のイントロが鳴り始め、デイブの咆哮で幕がオープン。で、出たー!デイブの雷神様ロック台座ー!!ドラムのテイラーソニー支給の法被を着ているし、これはもう、もはや出オチのレベルです。スケールのデカすぎる出オチ。爆笑。

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△(参考画像)

 前半は「Learn To Fly」や「The Pretender」、新作からも「Something From Nothing」など、今のベストみたいなセットリストで圧倒的に押してきます。曲中、必ずと言っていいほどMCやインプロを挟むので、1曲がなかなか終わらない(ほとんどの曲が7~8分以上かかっていた気がします)。いろいろ聴きたい私のようなリスナーにとっては「喋ってないでもっとやってよー!」と思うところもありましたが、やはりデイブ・グロールというキャラクターの面白さはそこで伝わってきたし、そこがブレイクになって再爆発する瞬間は最高にアガります。フーファイらしい、素晴らしきロック・ショーです。
 中盤のアコースティックコーナーでは、一般的に「大人しい」といわれる日本のオーディエンス評価を逆手にとり、合唱必至の「Times Like These」で逆に「うるせえ!黙れ!」と叫んで完璧に黙らせるという、日本のオーディエンスを配慮した挙句に裏拳をかましてくるシーンも(爆笑)。やはりデイブ・グロール、こういうところが天才的だと思います。昨年、セレブ界で「やる/やらない」の論争を巻き起こしたアイスバケツチャレンジの時も、やはりデイブらしいユーモアで対抗してましたしね。


Foo Fighters - ALS IceBucket Challenge - YouTube

 後半戦はQueen+David Bowieの「Under Pressure」のカバーからスタート。ワンマンではここからカバー曲コーナーに突入しますが、今回はこの一曲だけ。ロックの歴史を総括する役目を担っているFoo Fightersなので、このカバーコーナーはもう少し観たかったところ。その後は「ラウドロックが聴きたいか!」で始まった「All My Life」、デイブの歯ギターならぬギブスギターも飛び出した「Outside」、マンウィズのジャンケンジョニーがご当地ゲストで登場した「Breakout」、そして最後は大合唱の「Best Of You」で終了。
 もうとにかく盛りだくさんで、ここには書ききれないことも多いのですが、それでも今回の2時間の内容はフーファイにとっては短いもの。セットリストには元々「These Days」と「This Is A Call」もあったようですし、さすがに骨折状態ではやり切れない部分もあったでしょうから、次回は骨折治して単独で3時間くらいブチかましてもらいたいものです。

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△終演後


・All Night Planet Groove(DJ TASAKA、Flume、Jam City、Max Cooper)@Red Marquee

 フーファイが(予定通りとはいえ)思ったより早く終わったので、DJ TASAKAから深夜の部へ突入。
 現代ダブステップの王子様・Flumeは、さすが世界のフェスティバルで2ndステージならトリを務められるだけあって、ディープかつハイになれる間口の広いダブステップを展開。ただ、日本のオーディエンスには若干馴染みのない音のせいかフロア全体があまり乗り切れておらず、聴きたかった「On Top」やLorde「Tennis Court」のFlume Remixも結構早い段階で来てしまったので、後半は若干退屈に…。
 Wiwekの間は睡眠。すいません。結局、この日の睡眠時間はこの1時間だけ。
 Jam Cityは心地よい困惑を誘うグライム・サウンド。FKA twigsが絶賛する理由もわかります。
 Max Cooperは少しだけしか聴けませんでしたが、綺麗な3D映像と音の絡みが芸術的でした。何か賞をあげたい。


・Kitty, Daisy & Lewis @Palace Of Wonder

 この日のラストは、移動型テント・パレスオブワンダーでのKitty, Daisy & Lewis(本日2回目)。多くの人がのんびりまったり見ていたヘブンのときとは違って、深夜のパーティ感がフロアに満ち満ちてました。お子さん連れの外国人、ロックTシャツのフェス好き、エロいダンサーさんetc.が狭いテントに一堂に会してパーティしているあのごった煮感・・・特殊だけど、フジロックならではのクロスオーバーが体験できて良かったです。ステージほとんど見えなかったですが(苦笑)。



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 私の1日はこんな感じでした。やはりフジロックの場にはきちんと「生活」があって、良い生活の上に良い音楽が成立するんだなあ、と実感する1日でした。来年以降はやっぱり3日間、フル参加したいです。