DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

SYNCHRONICITY'14

Shibuya O-East & Duoにて行われた『SYNCHRONICITY'14』という都市型フェスに行ってきました。このイベントに参加するのは、ZAZEN BOYSThe Mirrazストレイテナーなどが出演した2011年以来。今回はとにかくメンツが良いので、ハーフマラソン大会直後という体力的にきつい日程にも関わらず、参加を決めました。


15:00オープン、O-EastではSYNCHRONICITYレジデンスDJとも言うべきKo Umeharaさんがエレクトロ×トライバルなビートで会場を少しずつ温めます。15:30からはO-Eastの下にあるDuoでもライヴが開始。初っ端は、こちらもSYNCHRONICITY常連であるJABBERLOOP。「SYNCHRONICITYでは毎回トップバッターなんですよ。これって、フジロックにおけるスカパラみたいなもんかな?と勝手に思ってます!」というMCがありましたが、確かに演奏もスカパラを少しコンパクトにしてポップにまとめた感じで、近いものは確かにありました。


JABBERLOOP終了後は急いでO-Eastへの階段を登り、rega。ポストロックに分類されるインストの4人組バンドですが、とにかく音の行方が全く予想できない。インストロックならこう来るだろう、と私たちが思うところを見事に避けて、どんどん面白い方向に持っていきます。「次はこう来るか?」→「ええ!?こうなの!?」→「じゃあ次はこうでしょ!」→「ええ!?そっちー!?」みたいな感じで、もはや気分は音のカーチェイス。しかもそれでいてリズムはきちんと跳ねているし、メロディラインも良いので、決して前衛な感じではなく〈ポップ〉として成立している。これはすごいな、と思いました。


regaの後は間髪空けずに、サブステージでSOUR。このバンドを観るのはまだ3回目くらいなのですが、なんだかいつも身近なところでライヴをしてくれているような、そんな親密さを感じさせるサウンドでした。今回は特にドラムが面白かったです。壁やアンプを叩いたり、ドラムにエフェクト掛けたり…。


次はまたしても間を空けずにメインステージでトクマルシューゴ(休む暇がない!)。いきなりピッチフォーク等でPVが高評価を得た「Katachi」でスタート。続いて「Decorate」と、惜しげもなく人気楽曲を冒頭に持ってくる構成にちょっと驚き。あと、トクマルバンドおなじみのおもちゃ類がまた増えた気がします(ユミコさんのくまのパンチングぬいぐるみは思わず笑ってしまいました)。わーっと盛り上がる瞬間はないものの、音楽の楽しみに満ち溢れた40分間。最後にギャグテイストになるのも、ポップミュージックらしくて微笑ましかったです。


このあとはDuoに降りてDEEP COVERを観ましたが、ステージ上の2人の演奏よりもMacの音源のほうが前に出てしまっていてライヴとして全く面白くなかったため、上に戻ってLimited Express(has gone?)。痛快なハチャメチャパンクでテレフォンズ待ちの方々は若干引いていましたが(笑)、私にとってはこのくらいやってくれたほうが丁度良いな、と感じました。前方のお客さんは少なかったですが、飛ぶわ暴れるわでエネルギー満ち溢れ過ぎ。あなたがたが、この日の敢闘賞です!


リミエキのあとは、今回の目玉・the telephones。でもあれ、意外とお客さん少ない?私のいたフロア後方はだいぶ余裕がありました。しかしテレフォンズ目当てのお客さんは前方で超元気、1曲目の「Urban Disco」から大盛り上がり。一気にフロアの気温が上がりました(笑)。今回、私は後方でゆるく踊ったりしながら楽しんだのですが、冷静に聴いてみると、見た目の割に若干音が薄い。この音の薄さの原因はどう考えても楽器をろくすっぽ弾こうとしない岡本ノブ氏にあると思うのですが、暴れずに真剣にシンセを弾き続けるノブさんだとそれはそれでつまらないので、このへんの課題をどう解決していくのか?今後に期待しています。


テレフォンズの後に始まったfox capture planはあまりに普通のジャズロックだったので、DuoでやっていたDE DE MOUSE+Drumrollsを観に行ってみると、人・人・人の大盛況。シンクロの客層にとっては、テレフォンズよりもこちらのほうが好みだったらしいです。ライヴはDE DE MOUSEこと遠藤さんとドラマー2人が活き活きとやってました。ドラムが休みのときはセットを離れてエアギターをやってみたりと、とにかく楽しんでやっている感じでした。


続いて、今まで観たい観たいと思っていながらなかなか観る機会に恵まれなかったSOIL & "PIMP" SESSIONS。ちょい押しで始まり、さらにちょっと溜めて登場してきた社長の風格がとにかくすごい。出てくるだけで観客をアジテートできる存在感。芸人でもなかなかいないでしょう(ミュージシャンも芸人の一種と言われればそうですが…)。サウンドも高速ジャズから勢いよく始まり、お客さんのペースをガッチリ掌握してからテンポを落としてズブズブに嵌めていく構成が見事でした。


しかし、ソイルを最後まで観ることは出来ず。なぜなら、Duoで始まるTHE NOVEMBERSのライヴが観たかったから。最近のNOVEMBERSは海外アーティストの良い要素を得るのに積極的であったり、自主レーベルを立ち上げて発信にもこだわったりと、「アーティスト」としての姿勢が一段上にシフトした印象があります。そしてこの日のライヴでしたが、もうぶっちぎりのベストアクトでした!!音の尖り方、そしてそれに対する集中力が圧倒的すぎました。サウンドとしては「侵食〜Lose Control〜」や「花葬」のころのラルクアンシエルに、Killing Jokeあたりの危うさを足した感じ(←適当すぎ?)の、一見暗く冷たい音楽ですが、意外とそこに人の思考や気持ちが透けて見えるような気がしました。このへん、作品を通じてもっと掘り下げてみたいですね。


Duoの進行がやや押し気味だったので、一旦O-Eastに戻ります。冒頭のKo Umehara氏が再登場して回していたのですが、最初と違って今度はバキバキのエレクトロ。ちょっとだけ「やればできんじゃん!」などと思ってしまいましたが(失礼)、場にきちんと合わせられるDJって、実は今とても大事だと思います。


DJの音が切れ、始まった渋さ知らズオーケストラの大宴会をチラ見。いつも通りの大人数に加えタップダンサーも登場していましたが、この方は渋さのメンバー(と言っても流動的ですが…)ではなく、主催の「-kikyu-」所属の方だったらしいです。SYNCHRONICITYでしか見られないスペシャルな光景だったんですね。


21:15ごろにDuoに降りてみると、もうOGRE YOU ASSHOLEの演奏が始まっていました。この日のオウガ、若干音が荒かったです。ただ偶然音が荒くなったわけではないようで、「素敵な時間」でノイズをかけっぱなしにする場面があったりと、かなり意図的にやっていた様子でした。ただ個人的には、もう少し緻密な感じの方が良かったかなあ。あとメンバーの立ち位置が、出戸さんがセンター寄りになって清水さんが外側にずれていたのがちょっと違和感ありました。


オウガはアンコールありかと思いきや、定刻前にあっさり終了。時計は21:50、これは!と思いO-Eastに舞い戻ってみると、やっぱりキター!渋さ知らズの定番クライマックス、「本田工務店のテーマ」!!これを聴いて盛り上がらないわけにはいきません。一日の疲れが一気に吹っ飛ぶ大盛会で、今回のSYNCHRONICITYは幕を閉じました。


こんな感じで7時間にわたるSYNCHRONICITYというイベントを楽しんだのですが、ライヴ以外にもトークやライヴペイントもあったりして、ライヴに浸かりすぎると視野狭窄になりがちな私のようなアホリスナーにとってはこれらが良い刺激になりました。特に、THE NOVEMBERSのライヴ前に行われた東北の産業復興とデザイン業界を繋げる取り組みに関してのトークは、トークの内容自体がクロスオーヴァーを体現するものになっていて、とても刺激的でした。秋にも何かシンクロ関連のイベントを計画されているということでしたので、今後も楽しみです。