DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

青葉市子 @代々木上原MUSICASA

クラシックギターと歌だけで、何処へでも響くポップを鳴らす若きソロアーティスト・青葉市子さんの「独奏会」に行ってきました。

青葉さんのライブは自身4回目になるのですが、毎回シチュエーションがバラバラです。1回目はタワーレコードのインストアライブ、2回目はカフェ、3回目はサマーソニック、そして今回はコンサートホール。過去3回ともその場に合った表情を見せてきた青葉さんの歌ですが、コンサートホールでは果たしてどうなるのか。確かめに行きました。

定刻19時30分。森の動物たちの鳴き声が低めのボリュームで鳴らされている中、観客席の後方から登場した青葉市子さん。最初は感触を確かめるように『灰色の日』。それから、「半年ほど封印していた」という『光蜥蜴』。『光蜥蜴』は私もライブで聴いてみたいと思っていたので嬉しかったです。音源よりも少々ハネっぷりが乏しかったですが、一気に夜の新宿繁華街に飛ばされた感覚がしました。ギターと歌だけでこれだけの表現が出来るのは、やはりすごい。

『光蜥蜴』のあとは、アルバム未収録曲を3連発。『インペリアル・スモークタウン』は、近代技術の恩恵を受けながらも、その技術のせいで皮肉にも荒廃してしまった街の物語(この時点でどこの土地のことを歌っているか、大体の人はわかるはず)。サマーソニックでも聴いた曲ですが、さらにブラッシュアップされていた印象。『私の盗人』は妖艶さを孕んだ、歌い手との年齢不相応甚だしい一曲(笑・青葉さんはまだ20代前半)。それとはうって変わって『奇跡はいつでも』では青葉さんの純朴な願いのようなものが込められていて、あまりにバリエーション豊富な新曲群に改めて表現の幅広さを感じさせられたのでした。

15分ほどの休憩を挟み、"第二部"がスタート。第一部でのお客さんの反応がやや硬かったのを反映してか、第二部はのほほんとしたおしゃべりを交えながらの進行。「私、コレ(両手を重ねてうねうねさせる)が得意技なんですよ〜」とか、「9月はライブが少なかったので、引きこもってました。ずっとギターをいじりながら…(と言いながらトボけ気味の歌謡曲のメロディを弾く)そう、こんな感じで」とか。コンサートホールゆえに若干緊張気味だったお客さんでしたが、これで大分和みました。
ただ、当の本人も言っていましたが、ややおしゃべりが過ぎてしまって、第二部の演奏はやや弛緩してしまっていたような気がします。私の好きな『レースのむこう』もやってくれたのですが、イマイチ歌声に張りがなかったです。思えば初めてワンマンに行った吉祥寺キチムの時も終盤にやや歌の緊張感が無くなっていたので、これは今後、ワンマンライブをやっていく上での課題なのかもしれません(たまたまなのかもしれませんが…)。

アンコールは、8月に京都でライブをやった際に即興で作ったという『光のふるさと』。「きら きら きら」というフレーズが印象的で、これまであまり表に出てこなかった明るさのある一曲でした。今日は本当にバリエーション豊かな新曲たちを味わうことが出来、ファンとしては今後がますます楽しみになる独奏会でした。もうちょっと曲数やって欲しかったな〜とか、せめて『パッチワーク』と『日時計』はやって欲しかったな〜とかもあるんですが、明日も福岡でライブだそうですので、そうそう毎日同じ曲ばかりやっていたくないのも分かります。これらは、また次回12/22の独奏会で期待したいと思います。


◎setlist

(第一部)
灰色の日
光蜥蜴
インペリアル・スモークタウン(アルバム未収録曲)
私の盗人(新曲)
奇跡はいつでも(新曲)
(第二部)
裸足の庭(新曲・インスト)
レースのむこう
繙く風
腸髪のサーカス
重たい睫毛

en.
光のふるさと(新曲)