DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

65daysofstatic Heavy Sky EP Release Japan Tour @Ebisu liquidroom

いろいろなよしなし事が重なって、なかなかはてなダイアリーをいじくっている暇がございません。そんなわけで、ほぼ1ヶ月前のライヴの感想を今更UP。65daysofstaticの来日公演です。


1月26日(水)
65daysofstatic Heavy Sky EP Release Japan Tour
@Ebisu liquidroom
Guest: Kong


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


 65の前にオープニングアクトとして登場したのが、マンチェスター出身のノイズパンクバンド・Kong。アーティスト写真の姿ですでにインパクト全開なのに、実際に登場してみるとなおさら強烈。特にベーシストが・・・なんと赤パン一丁。しかも腹肉ダブダブで、まるで銭湯によくいる中年オヤジのような体型(笑)。そんな典型的なロックミュージシャンからは大幅にズレた見た目の連中がいきなりバッキバキのノイズパンクを鳴らし始めるので、会場は興奮と失笑が入り交じっていきなり大盛り上がり。
 このバンド、3人の割に音は分厚く、特にドラムが迫力十分。しかし、突然ストップ&ゴーしたり、転調したり、ボーカルがいきなり叫びだしたりで、とてもじゃないですが「ノりやすい」とは言えません。明らかにネジが外れてます。局地的に熱狂している観客はいるものの、多くのお客さんは最初の盛り上がりから徐々についていけなくなっていく展開に・・・。私も、最終的には半分苦笑いで観てました。
 まあこんな音楽なのでめちゃくちゃ売れるバンドにはまずならないと思いますが、存在自体はとても面白いな、と思いました。日本のスカムなバンドがよくやるようなストーリー通りのイカレ方に満足できない私には、こっちのほうが予測不可能で説明のつかない頭のイカれ方をしているように見えて、興味深かったです。
 最後はステージに観客を上げてましたが、「ああ、縄文時代にこんなロックがあったら、こういう感じなのかなー」などと妄想を膨らませながら、その様子をフロアで眺めてました。実際の縄文時代がこんなんだったかどうかは知りませんが。なんとなく、「食ったり、寝たり、本能的に生きている時間の間に音楽がある」、そんな原始的な連中なんじゃないかなーと、勝手にイメージしてました。見た目もなんだか、古代人っぽく見えなくもないですしね。


 続いては65daysofstatic。メンバーが登場し、「Go Complex」の打ち込み音が鳴り響いた瞬間からテンション急上昇でしたが、なにやら進んでいくうちに「物足りないなあ…」という気分に。個人的に、昨年リリースのアルバム『We Were Exploding Anyway』で見せてくれたエクストリームっぷりの再現を期待していたのですが、どうも打ち込みの音圧が弱く、フックになるような音がほとんど出ていないように感じられて、イマイチ乗りきれませんでした。少なくとも前半、「Weak4」までは。
 しかし「Pacify」〜「PX3」で流麗な世界観を魅せると、ここからは完全に『65dosのショータイム』になっていきました。続く「Mountainhead」は、今回のライヴでのマイ・ベストトラック。電子音と人力の音、サイレントな部分とノイジーな部分がうまく混ざり合い、どちらか片方だけでは出来ない表現が生まれたおかげで、頭の中にイマジネーションの地図がバッ!と拡がったような、そんな特殊な感覚がしました。こういうことが出来るのは65dosならでは。ようやくここで「今日のライヴ、来てよかったなあ」と思える瞬間に出会えた気がします。
 そしてラストの「Tiger Girl」、これはもう完璧でした。徐々に高まっていく音の波がフロアをジワジワ侵食し、それまでは割と冷静にライヴを観ていたお客さんまで踊り出す様は、傍目で見ていても痛快でした。もちろん、自分自身も、踊りました。踊らされました。最もハッピーな踊らされ方。最高でした。
 アンコールは「Radio Protector」をはじめ、わりとディープな曲を3曲。これも、良かったです。そして「良いなあ」と思うのと同時に、やはりまだ「エクストリームなロック/ポップバンド」としての65dosはまだまだ未完成で、これまで通りの「静寂と轟音を使い分けるポストロックバンド」としての65dosからはみ出しきれていないなあ、という印象も強く感じてしまいました。まあ、まだ方針を変えてからアルバム1枚とEP1枚しか出していないわけなので、これからの彼らの航路に期待したいところです。


 ライヴ後は、65のメンバーサイン&握手会。時間が無いので手短に、と伝えられたので「どうしよう、でも何か喋りたいな〜『夏フェス来る?』とか聞いちゃおうかな〜」等々考えている内に順番が。そしてメンバーの目の前に立った次の瞬間、いきなり「コニチハ!ゲンキー?」と日本語で話しかけられ、頭の中で考えていた会話のプランがパーンとはじけ飛んでしまいました(外国人にいきなり日本語で話しかけられるのって逆にビックリしますね…笑)。それでも無意識で口走った「Good Live!」の言葉にJoeがいい笑顔で応えてくれたのがとても嬉しかったし、ちょっぴり救いでもあったのでした(苦笑)。
 ライヴ後のお楽しみはまだまだ。残響レコードがライヴ来場者に配っていたCD-Rに入っている「Memory Dress」という曲、これがめちゃくちゃ良い!!「なぜこれをEPに入れなかった!?」と問いたくなるくらい、良い。この1曲のおかげで、今後の彼らの作る音楽への期待が更に高まりました。これは早いところ、次のアルバムを・・・と期待してしまいます。そして当然、来日も。65daysofstatic、まだまだ熱くなりそうなバンドです。