DO-MANNAKA de Alternative

走るポップ・リスナー、その魂のゆくゑ

Warpaint @ Liquidroom

LAの女子4人組バンド、Warpaintの東京公演に行ってきました。


サポートアクトはyahyel。昨年リリースされたアルバム『Flesh and Blood』はミニマルなグルーヴが冴える良作でしたが、ライブの技術はまだまだ、といったところ。特にドラムスが明らかにリズム外していたりしてしんどかったです。「自分たちもLA行きたい!」と言っていましたが、LAの前にスタジオ行ってしっかり練習積んでほしいところ。


20:30ごろ、Warpaintのライブがスタート。最近はセットリストをころころ変えている彼女たち、今日は何で始める?「Heads Up」?「Intro」からの「Keep It Healty」?いろいろ候補はありましたが、答えは「Bees」でした。

始まってすぐに思ったのは、ドラムの音の小ささ。最初のうちは「これでいいの?」と思いましたが、次第にこの音量でバンドの統率とフロアの掌握ができているように感じられました。

彼女たちらしいグルーヴが効いてくると、フロアも徐々に動き出します。今日はフロア後方で観ていましたが、ステージ向かって左側にいるお客さんたちのうごめきっぷりが若干気持ち悪くなるくらい良かったです笑。

Warpaintは世界の音楽シーンにおける立ち位置がいまいち謎なバンドですが、それは独特すぎる魅力を放っているからこそかな、と感じるライブでした。あと、ギターでシンセのような音を出す技術(「New Song」などに顕著)にはRed Hot Chili Peppersのジョン&ジョシュからの影響も感じられて、RHCPファンとしてはニヤリとしてしまう箇所でした。

HEADS UP

HEADS UP

James Blake @東京国際フォーラム

同日開催のHostess Club Weekenderと死ぬほど迷って、最終的に「長年観たかったけどなかなか観れなかった」のと「集中して観れる環境だから」という理由で選んだ、James Blake@東京国際フォーラム。Girl Band観たかったし、Pixiesも好きなんだけど、平行世界に身体までは持っていけないので、仕方ない。


セットリストは最近のものとほぼ同じ(日本公演では「Lindisfarne」を追加してカバー曲を1曲減)。このセットリストを完璧に作り込んでいる感じがしました。でも「Radio Silence」も聴きたかった。

http://www.setlist.fm/setlist/james-blake/2017/tokyo-international-forum-tokyo-japan-3f995af.html


冒頭から音の良さ、3D映像の綺麗さ、照明の美しさが素晴らしかったです。全てが立体的。
それほどハマれなかった最新作の曲も、ループマシンの使用を抑えることでバンドのアンサンブルと生音の良さをアピールする機能を果たしていました。特に「Timeless」と「Love Me In Whatever Way」が白眉。

中盤、「Forward」(Beyonceへの提供曲)と「I Need a Forest Fire」(Bon Iverとのコラボ作)を並べて演奏したのも面白かったです。女帝Beyonceはもちろん、Bon Iverにも立場的には及んでいないJBですが、この2組に信頼され、将来的に並び立つ実力を示すパフォーマンスだったかと。

全席指定のライブでどうなるか不安だった「I Hope My Life」と「Voyeur」のガチ踊りマッシュアップは、やはり”フロアで踊りたい!”と思うお客さんが多かったと思いますが、個人的には着席でも楽しめました。ものすごいビートの渦の中、Jamesが身を屈めて必死に鍵盤をなぞるように引き倒していたのもじっくり観れましたしね。このバッキバキタイムの直後に、ほぼ弾き語りの「The Colour of Anything」をしんみりと、綺麗な映像(一筆書きで鯨のような生き物を描いていた)を観ながら愉しめる、そのモードの切り替えも着座だったからしっくりきたような気がします。


ラストは「Retrograde」と「The Wilhelm Scream」、2ndと1stからの人気曲2連発。「Retrograde」ではループコーラスにお客さんの歓声が混じってしまい、ループの度に同じ歓声が聞こえるというちょっと不思議な感じに(笑)。「The Wilhelm Scream」終了後は大歓声、初めの頃は”Quiet…”を連発していたJamesも、アンコールで再登場したときにはその歓声の大きさに驚いていました。


アンコールは完全にひとりでの演奏。オーラス「Measurments」はコーラスを自動ループさせたあと、照明も落として真っ暗な中ひっそりと退場するという、いかにもJames Blakeらしい終わり方。でも、そんな「無」への道のりこそが美しいライブだったなー、としみじみ思いました。バンドとの美しいアンサンブルあり、照明や映像を駆使したハイスペックな表現あり、クラブのようなガチ上がりタイムもあり、それら全ての表現を100分かけて燃やし尽くして訪れた完璧な「無」には、圧倒的に尊い美しさがありました。

ザ・カラー・イン・エニシング

ザ・カラー・イン・エニシング

exPoP!!!! volume94 (yule etc.) @o-nest

毎度毎度甘い蜜を吸わせていただいてばかりいるexPoP!!!!。今回もタダで幅広い分野のアーティストをまるっと体験させて頂きました。

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今回の出演順はcaino→TENDOUJI→Lee&Small Mountains→yule→Qaijff。お客さんたちの間で注目が高かったのはTENDOUJIとyule。この2組のときはフロアがほぼいっぱい。Qaijffも固定ファンが多くて、ずっと前方に張り付いている熱のある方々がいました。


まあとにかく、yuleがすごかったです。スケールのある演奏なのにメンバー6人だけの聖域はきちんと守られているような、厳かさも感じる30分間。それでいて、観ているこちらの身体も揺らされて、単純に「楽しい!」と思えるビートとグルーヴもある。なんじゃこりゃ、、、

  • Setlist

(SE)塔の街/tale
Morgenrot
ゴーストタウン
Symbol
starry song
sleepless sleep
羊が眠る頃

特に良かったと思う曲は「starry song」と「羊が眠る頃」。「starry song」、コーラスとIwaoさんのマンドリンが綺麗すぎ。「羊が眠る頃」は、全力のシューゲイズサウンドに唖然。この2曲は鳥肌モノでした。

yuleのライブを観るのはこれで3回目なのですが、観るたびに急成長しています。これからどんどん存在が大きくなっていくと思うので、今のうちに近い場所で観ておきたいです。


他に良かったのはTENDOUJI。以前、O-EASTで行われたScramble Fesで観たときは正直内輪ノリ感が強くて最後まで観てられなかったのですが、今日は良い意味で「あれ!?」と思うくらい良くなってました。ネバヤンやTempalayなどとも異なる「パンキッシュな西海岸感」、開放的で気持ち良かったです。

あと、ROCK IN JAPANへの出演歴もあって注目していた3ピースピアノロックバンド・Qaijffでしたが、yuleのあとに観ると「表現の核」の無さが目立っていて、かなりしんどかったです。確かに技術はあるし魅せ方も上手、しかしただ一体感を煽って終わり。これに何の意味があるんだろう…?
まあRIJなんてそういう飼い慣らされた一体感を味わうためのバンドばかり出ているし、その枠をハミ出す存在になるのは難しい、ということでしょうか。

Porter Robinson & Madeon 「”Shelter” Live」 @zepp divercity Tokyo

2015年のSonic Mania、メインのマウンテンステージでプロディジーマリリン・マンソンがヘヴィに攻めまくる中、裏のソニックステージでまるで自分たちの世界の中で泳ぐかの如く奔放にプレイしていた、Porter RobinsonMadeonのふたり。
2016年、このふたりは意気投合し自分たちの世界を組み合わせ、「Shelter」というプロジェクトを造り上げます。

その後、この「Shelter」とそれぞれの楽曲を併せてプレイするライブツアーに乗り出したふたり。このツアーは「”Shelter” Live」と名づけられ、そして2017年のこの日、ついに日本に上陸しました。


・・・というのが、今日に至るまでの流れ。
結果的に、近いけど「個」のままだったふたりの世界がバチバチにぶつかり合う、熱いライブになりました。

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日本のアニメを取り入れたプロジェクトだけに、バックの映像はポリゴンやキャラクターなど、随所に日本発のセンスや技術を感じる部分がありました。
そこまでアニメ的表現には踏み込まなかった(権利の問題もある?)ですが、ふたりが共通して見てきたもの、感じてきたものを示すには十分なレベル。

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△エントランスには「Shelter」のアニメを製作したA-1 Picturesからの花もありました。中田ヤスタカさんからも。


ふたりに共通する部分、といえば、トラックメイカーであるだけでなく優れたプレイヤーでもあるということ。Madeonはシンセパッドと歌、Porter Robinsonシンセサイザーとドラムパッド(他にもありますが、目立つのはこれら)。ふたりの曲をほぼ交互にコントロールし合いながら演奏も行うのは難しい業だと思いますが(実際ややミスもありました)、ただのDJよりも遥かに活き活きした音像が生まれていた気がします。
特にアンコール、「Shelter」をポーターのシンセとマデオンの歌のみで演奏したシーンは、ふたりの個性と強みが最も露わになったシーンだと思います。


今回の「Shelter」プロジェクトで互いに刺激を受けたはずのふたりが、これからどういう音を生み出していくか。また、今回のアニメとのコラボのように、これまでのエレクトリック・ダンス・ミュージックが成し得なかった新しい表現をいかに獲得していくか。これからのふたりの世界の拡がりが楽しみです。

D.A.N. ”Timeless #2” @WWW X

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w/mndsgn

Zidane
SSWB
Ghana
Native Dancer
Dive (Re-edit)

新曲
Navy
Tempest
Time Machine

(en.) Pool (Re-edit)


#1にまして、更に時間の概念がすっとぶ「Timeless」な一夜でした。

1曲目の新曲は「ワンダーリング・スター」というフレーズが印象的なドープ・ナンバー。2曲目の新曲「Tempest」はメロウで長いけど掴んで離さない、D.A.N.らしい名曲の予感。先行で配信リリースされた「SSWB」と合わせて、新曲群はどれもランニングタイムが長い。しかしダレない。素晴らしいです

Q2 年末イベント(MASS OF THE FERMENTING DREGS, etc) @下北沢GARAGE

ライターなどで活躍している三宅正一さんオーガナイズのイベントで、今年のライブ〆め。

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このタイムテーブルからも分かる通り、マスドレが(ゲストを除いた)トップバッターにしてヘッドライナー。
私も昨年、同じ下北沢GARAGEでマスドレの4年振りの活動再開ライブを観て、それ以降「また観たい!」と思いつつもなかなか機会が合わなかったので、ここで1時間とってくれたのは嬉しかったです。

ライブは「RAT」「かくいうもの」と爆走する2曲で荒々しくスタート。そこから少しポップな「まで。」、タイトルに反して尖りまくる「サイダーと君」と、爆音の中に様々な表情を見せてくれます。ここまでの3人の演奏は言うことなし。昨年のライブはやはり探り探りで、小倉さんのギターにもやや違和感があったのですが、今日は自信満々のプレイで、ギターの音も自然に溶け込んでいるように感じられました。ドラムの功さんも、メガネを飛ばしながら叩きまくる。

フロアの方は一応”ソールドアウト”とのことでしたが、みなさん観たいアクトに合わせて来ているのと、各々の都合があるので(私もマスドレ後はCICADA少し観ただけで時間切れ)、昨年のように満杯ギュウギュウではなく、ややゆとりある感じ。モッシュが起きる気配もなかったですが、熱心なファンの方々がガンガン頭振ったり長渕ばりの拳突き上げで応戦していて、私も安心して盛り上がれました。

中盤からは新曲も。最初にやった曲(「だったらいいのにな」?)はマスドレにしてはパンクな曲調だけれど、菜津子さん&功さんによるポップなコーラスも印象的。続いて、ステージに出てもまだやるかどうか迷っていたという初披露の「シガー」(セットリストにも「ONEDAY or シガー」と書かれていました)。菜津子さんの女性っぽさと、バンドの強さの両面が押し出された一曲で、お客さんからも「めっちゃいい曲…!」というつぶやきが漏れていました。確かに、本当いい曲。早急に音源化希望です。

初披露の曲のあとは、再始動後はほとんど?全く?やっていないはずの「さんざめく」!初期からある曲ですが、音源としては現時点で最も近作の『ゼロコンマ、色とりどりの世界』のラストに収録されているという、活動停止前のマスドレの歴史を集約するような一曲。これをやってくれたのは胸熱でした。

続けて「エンドロール」。この曲が今日最も「マスドレ、完全復活!!」を感じた曲でした。歌無しで10分近くある曲ですが、全くひとときも集中力が切れずに、こちらをジワジワと引き込んでいく。一年前、同じステージで自分の曲のコードが分からず苦笑いしていた人と同じ人がいまここで演奏している、というのがちょっと信じられなくなるくらい。

最高の「エンドロール」のあとは、少々告知タイム。3ヶ月ごとに日曜昼にワンマンをやること(活動停止前のファンが社会人になってなかなか平日や日曜夜に来れなくなっていることに配慮して、とのこと*1 )、そして待望の音源リリース(7inchシングル)。そこに収録される「スローモーションリプレイ」は、もともと菜津子さんが弾き語りでやっていたこともあって、歌メロが激烈にポップ。しかしきちんとマスドレの曲になっていて、改めてこの3人の音が揃うと凄いんだな、と実感。ちなみに7inchはライブ会場と大阪のFLAKE RECORDSでの500枚限定販売とのこと…はたして、買えるでしょうか?いや、なんとかして買う。

終盤は「delusionalism」と「ワールドイズユアーズ」で大疾走、ラストは絶対の「ベアーズ」。菜津子さん、変わらずのカスタネット両手持ち。そして、フロアを一瞬一瞥。

「くる・・・!」

と察した私は両手で猛アピール、見事に菜津子さんの手から私の元へカスタネットが飛んできました!!8年ほど前、柏のライブハウスでゲットして以来2個目のカスタネットです。嬉しい…!

そして「ベアーズ」は今日イチの爆発力、締めは菜津子さんが裸足でバスドラに乗っかって猛烈なラッシュを決めて完遂。素晴らしかった…!

マスドレは、例えば「まで。」や「サイダーと君」のように、曲の中にいろいろな感覚を含めて、それらを丸めて一気に聴衆にぶつけてくるワザが年々巧みになっていたように感じていましたが、それが活動停止でストップしてしまった。今回、バンドが再び動き出したこと、加えてメインライターの菜津子さんもある程度年齢を重ねたことで、様々な生き方の”色”をより多く楽曲に加えてくるような気がします(菜津子さんとほぼ同世代である宇多田ヒカルさんの最新作もそんな感じでしたね)。7inchのリリースは決まりましたが、現在録っているというアルバムのリリースも楽しみにしています。

*1:個人的には日曜昼は陸上のレースが入ることが多いので、正直普通に夜にやってくれたほうが都合がいいですが…まあ、とにかくライブを精力的にやってくれることを期待!

The xx @ 豊洲PIT

アルバム2作にして、「インディーポップの雄」から「世界のトップクラスバンド」へと一気に成り上がったThe xx。
3作目となる『I See You』のリリースを1月に控え、まず最初に東欧諸国5箇所でライブを行ってきた彼らが次に選んだ場所は…ここ日本、東京でした!

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フロントアクトのSamphaが、ピアノ弾き語りながらもビートを感じさせる音像でうまくThe xxの世界観への橋渡しを行ってくれた後、荘厳なSEとともに登場したロミー、オリヴァー、ジェイミーの3人。
1曲目から新作収録予定の新曲(「Lips」)を披露。次いで1stから、The xxの将来を決定付けた「Crystalized」と「VCR」をいきなり連発。「Crystalized」はロミーとオリヴァーが無音の中で異なるリリックを同時に歌ったのち、交錯して一つに戻る展開が最高に決まっていて格好良い。「VCR」は…もう言葉にならないくらい、綺麗。”大きな愛を語る 私たちはスーパースターみたい”というリリックがそのまま当てはまる。この時点で、早くも涙腺崩壊。

アルバムリリース前のツアーということで、ここからは新曲を織り交ぜながらの進行。「I Dare You」と「Brave for You」はポスト・ダブステップ感の強い、割とイケイケのトラック(ゆえに間に挟まれた「Islands」や、ジェイミーのソロ曲「Strangers in My Room」への繋がりもよかった)。
「Lips」や先行リリースされた「On Hold」も割とビート強めの曲だったので、新作はそういう方向で押し切るのか?…と思いきや、それが一転したのが「Performance」。この曲、事実上ロミーの弾き語り。2014年からやっている曲なので、『I See You』には様々なタイミングで作られたバリエーション豊かな曲たちが収められることに…なるのでしょうか?これはリリースされてみないと分からないかも。ただ”ビートが強い”、これだけは確か。

音響に関してはやや物足りなかった会場の豊洲PITでしたが、照明演出は綺麗。特に、「Infinity」でロミーとオリヴァーの掛け合いに呼応するように白いライトが交差していく場面は、2013年のフジロックにおける「Xライト」を彷彿とさせるワンシーンでした。

終盤は「Fiction」〜「Gosh」と「Shelter」のセルフマッシュアップ〜「Loud Places」〜一旦メンバー捌けてからの「On Hold」。ジェイミーのソロツアーを反映した、まるでDJのような展開。この流れを受けたお客さんたちの沸き立ち具合が異常(私もでしたが…笑)。「On Hold」が鳴り止んでからのオベーション、ものすごかったです。そこから感謝のMCを挟んで「Intro」〜「Angels」で一転して密やかに締めるのも、The xxらしくていい。

The xxの音楽には、交差(×)はするけどなかなかひとつ(-)になれなかったり、同じ方向に進むこと(=)が出来ない葛藤が常に含まれているけれど、それに対して潔く向き合うことで美しさや共振する感情を最大限スパークさせている…と思っています。
今回、バキバキのビートミュージックの展開も含んでより”強い音”になったThe xxは、アンダーグラウンドもオーヴァーグラウンドも、世代も文化も飛び越えて、より広い範囲にその美しさと感覚を伝えていきそう。今日のお客さんの顔ぶれが正にそうでしたし、新作リリース後のThe xxは更に面白くなっていくのではないかと。できればフジロックにもまた来てくださいね(ロミーから「またすぐ来る」の言質も取れたし、期待していいはず…)!

POLYSICS「トイス感謝祭」 @新宿ReNY

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POLYSICSのライブは相当久々。ワンマンは『Oh!No!It's Heavy Polysick』のツアー以来でしょうか?スケジュールが合ったのと、チケット代が安かった(トイス価格で1,013円!ポケベル!)ので、行くことに。
新宿ReNYは初めて行くハコ。V系バンドやアイドルがよくライブをやっているイメージ。ステージが見やすく、半円形の客席をぐるっと囲むLEDモニターが印象的でした。Devo「Mongoloid」のDOPEなMixが流れる中、開始を待ちます。

1曲目は企画名に合わせて「Toisu!」。そこから「Toisu!」が収録されている『Now is the Time!』から「Tei!Tei!Tei!」「シーラカンスイズアンドロイド」と連打。Now is~はポリにとってのステップアップ作だし、自分もお気に入りのアルバムなので、この流れはアガりました。

序盤からとにかくバンバン曲を繰り出す。個人的に印象的だったのは、最新作からの「Funny Attitude」(アイドルポップっぽいコーラスが無性に弾けさせてくれる)と「Genki Rock A-B-C!」(これやったの、いつ振りだろう?超レア)。フロアのテンションも右肩上がり。床がかなり揺れるので、ちょっと不安になる(苦笑)。

ハヤシのMC。だいぶ変わったな~と思ったのは、ステージの中央前方まで出てきてお客さんとコミュニケーションを取りながら喋るようになっていたこと。元々のポリのMCといえば、伝説の"4人同時MC"に象徴されるように「別に伝えることなんかねえよ、それより曲だ、曲!」みたいなイメージ。だんだんとまともに喋るようにはなってきていましたが、ギターも持たずにステージ前方まで出てくるようになっていたとは思いませんでした。アイドル(ゆるめるモ!)の楽曲制作などを通じて、ファンサービスというものへの理解が出てきたから、でしょうか?でも噛み噛みなのは相変わらず(笑)。


(ハヤシ作曲・プログラミングのゆるめるモ!「hamidasumo!」)

ちなみに今日のMCで一番笑ったのは、ハヤシが20周年ライブを豊洲でやることを発表した後にフミさんが発した「盛り土して、お待ちしてます」。時事ネタ!(笑)

中盤には、事前に公募していた「トイス!」の音声データを使ってのサンプラーミックス大会。ベーストラックはクラフトワークで、付けられたタイトルは「Toisu Non Stop」。個人的にはめちゃくちゃウケましたが、周りのお客さんの間ではそれほどでもなかったかな?でもこういうお客さんの需要無視で面白そうなことを好き放題やる姿勢がPOLYSICSの魅力だし、大好きなところです。この流れから「サニーマスター」や「Time Out」などを断片的に使いながら、最終的にハヤシとヤノのカラオケ大会に持ち込む流れも最高。ナイスなニューウェーブ・ディスコでした。

後半戦はライブで盛り上がる曲を10曲近く乱打。ポリのアンセムともいえる「Let's ダバダバ」が全くクライマックスにならないというところが、これまでPOLYSICSが生み出してきた楽曲の質と量の大きさ、そして衰え知らずのライブへの熱量を物語ってました。「ロボットマイムマイム」や「DTMK未来」のような新しめの曲もこの流れに含まれていて、これからもライブアンセムをバンバン作っていってくれそうな期待が高まりました。

アンコールでは、個人的にライブで初めて聴く「You-You-You」が!この曲、シングルなのにほとんど演奏されないので貴重です。とはいえ、カヨさん卒業後は演奏されていない曲もまだまだたくさんあるので、そういった曲もこれから20周年に向けてガシガシやっていただきたいところ。そして、あの武道館の約束もそろそろ・・・?とにかく、これからのPOLYSICSのライブに更なる期待が持てる感謝祭でした。

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OGRE YOU ASSHOLE @WWW X

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日曜でしたが仕事があったため、着いたのは開演ギリギリ。フロア右側最後方付近で観ました。

いきなり観覧位置を書いたのは、このライブはスピーカーを前方だけでなく後方両サイドにも増設した4チャンネル出音で、なおかつ各チャンネルに音を振り分けるサウンドコントロールがされていたので、観る場所によって印象がかなり異なると思われるためです。以下はあくまで「右側後方で観た人の感想」と捉えていただければ…。

客電が落ちると、メンバー登場…ではなく、今回のサウンドシステムの説明アナウンスが流れます。ドラムパターンをスピーカーごとに流したり、サンプルトラックの中でギターの音だけを回転させたりしていて、通常のライブの音響とは全く異なることを把握。そしてこのアナウンス、淡々とした語り口が微妙に昭和っぽくて、なんだかレトロフューチャーな雰囲気…。

説明が終わり、「長らくお待たせいたしました。オウガ・ユー・アスホールのライブを存分にお楽しみください」のアナウンスで遂に演奏開始。一曲目は最新EPの楽曲「寝つけない」。アナウンスの雰囲気を継いでか、冒頭はB面収録のterribly humid mix(歌はなく、人体のふしぎについての語りのみ)で始まりましたが、すぐに出戸さんの歌がカットイン。すでに早くも音像がヤバい。左右後方からも低音ブリブリの演奏が襲いかかってくるので、360度から音の針が突き刺さってくるような感覚。これは酔える…!
序盤は新曲3連発でしたが、お客さんたちもこの音にしっかり反応して、身体を揺らしまくります。前方に詰めていたお客さんが踊るので、後方にいた我々はだんだんと圧迫を受けることに(苦笑)。

新曲群のあとは、「夜の船」「ワイパー」「タニシ」「ヘッドライト」と、ここ最近ライブでよく演奏されている楽曲をプレイ。このあたりは、音響もわりと普通。
そこから「すべて大丈夫」「黒い窓」とワンマンならではの楽曲を挟み、「ムダがないって素晴らしい」「フェンスのない家」「フラッグ」「見えないルール」ラストに「ROPE long ver.」。全ての楽曲が昨年リリースのライブアルバム『workshop』に準拠したアレンジでの演奏で、ズバリ圧巻だったのはこのパート。
あのアルバムはオウガのライブにおけるPAの役割を示した一枚でしたが、今回もそのPAマジックを遺憾なく発揮(担当はやはり石原・佐々木・中村各氏でしょうか?)。オウガの演奏に要所要所でのディレイや飛び道具的なノイズを四方から加えて、『workshop』を聴いたときのぶっ飛び感をライブハウスのスケールで再現。
当然、初めての試みなので「見えないルール」のアウトロでのノイズ音が馬鹿デカすぎてバンドのグルーヴの妨げになったり、「ROPE」では〈まとめていく 人も自分も…〉のところでボーカルの声をぐるぐる回したところ遠いスピーカーからの声があまりよく聞こえなかったりと、一部でしっくりこないところもありました(場所によっては全然問題なかったかもしれませんが)。しかしそれでも、このパートは本当に「圧巻」の一言。ぶっ飛びました(実際、イッちゃってて行動がなんかおかしくなってたお客さんもいました笑)。

一般的にも「圧巻のライブをするバンド」としての認識があるオウガですが、『homely』以降の実践によって、その”圧巻さ”もある程度固まってきたように思います。それを記録したのが『workshop』であり、今回その内容を4チャンネルという極め付きの環境で実演したということは、今後に向けて一旦これまでのライブ表現にケリをつけて、きたるべき新アルバムの世界へと移っていこう…そんな意識が今回のライブにあったのかも?などと考えてしまいます。
アンコールで披露された「はじまりの感じ」は、まさにそんな印象を持って聴いていました。これからのオウガ、また楽しみです。あとWWW X、開店間もないのにいきなりチャレンジャーな企画をやってくれてありがとうございました!

D.A.N. ”Timeless” vol.1 @WWW X

時間を忘れるくらい、永遠に続くように音楽に没頭すること。けっこうやっているようで、実はあまりできていないことかもしれません。やらなきゃいけないことが細々とあり、後回しにしていた連絡に追われ、全部クリアしたー!と思ったらまたLINEの通知が…。そんなせわしない現代社会において、音楽は結局”ながら聴き”に留まってしまう。そんな人、多いのではないでしょうか?

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今夜行われたD.A.N.の自主企画”Timeless vol.1”は、そのタイトル通り「時間」という概念が無くなってしまうかような、素晴らしい音楽体験となりました。

ゲストのSeiho × Kan Sano × 松下マサナオのバンドセットは、アバンギャルドでカッコいいのに、MCや牛乳一気飲みなどで笑えて身近な感じまでしちゃうのがズルい。
ちなみに今日のSeihoさんの登場時のファッションはポニテ+サンバイザーに白のヘソ出しオフショルダー。遠目だと、もはやアリアナ・グランデでした笑。

そしてD.A.N.。「Curtain」でジワジワ始まり、そこからノンストップで「Zidane」「Ghana」「Native Dancer」「Dive」を連発。気分はクラブのピークタイム。そこから終盤、「Navy」「Time Machine」で夜の底にズブズブ沈んでいく感じも、アンコールでの「Now It's Dark」のリアレンジ版もよかったです。

D.A.N.もSeihoバンドも、ただ単に「夢中で踊る」だけでなく、探究心や想像力をかきたてる演奏でした。常にその先がどうなるのかを知ろうとする心、それが音楽に没頭し、時間を忘れる空間を生む…そんなふうに感じました。